小説掲示板僕の巣。のスレッド詳細|夜遊びweb関東版

夜遊びweb掲示板 関東夜遊びweb掲示板 関東
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

僕の巣。

スレッド内検索:
  • 1:

    「タバコ買ってくる…。」   そう言って僕は静かにその巣を出て行った。

    2008-02-24 22:41:00
  • 142:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「毎度あり!マリ仕事何しとん?」『デリヘル。あと、愛人が何人かおる。』「そうか。」『汚いやろ…。』「笑。俺よりマシや。」マリは淋しそうに笑った。スペシャルフルーツパフェはあまりに多く完食できず、持ち帰れないかなんて辺りを見回してたらマリに怒られる。会計をすまし、タクシーに乗り込んだ。
    二部屋め【マリの巣】

    2008-04-23 23:29:00
  • 143:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    明らかにワンメーターよりも近い所で降り、マリの巣へ。タクシーに千円札で支払いお釣りはチップ「もったいねぇ。」『近いのに乗ったから迷惑料。』「へぇ。」なかなか金遣いのあらい主だなぁと感心。玄関にはオートロック。「すげぇ家やなぁ。」『そう?』8階でエレベーターをおりる。『どうぞ?』「お邪魔します。」3LDKはあろうかと言う巣に圧倒される。「こら掃除大変やろな…。」『あ!この部屋が蟲の部屋な。』「えっ?部屋もらえるん?」『笑。』「ここ一人で住んでるんやろ?淋しないん?家賃はなんぼなん?」『もう慣れた。家賃は払ってもらってるから、いくらか知らない。』「すげぇな。」『体使ってるから…。』マリは職業がコンプレックスのようで何かにつけては、そういう言葉を使う。僕はニッコリ笑ってこう言った。
    「体使ってても、何してても自分の仕事に自信持てよ。体張ってもこれだけの暮らしそうできひんで。マリはすげぇよ。」

    2008-04-24 04:51:00
  • 144:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリはまた淋しそうに笑った。「さぁ。こんなに広かったら何かワクワクするな!早速掃除するわ。」『ゆっくりしたら?着いたばっかりなんだし。』マリの言う事を聞かずあちこち見て回る。風呂もトイレも綺麗し、広かった。取り敢えずトイレから掃除して、風呂場に詰まった髪の毛、水垢を落とす。マリは携帯をいじっていた。「あ。せやせや。俺との約束メール送るわ。」マリはニコっと笑い頷いた。 
    【べっぴんさんやなぁ…。】

    2008-04-24 04:56:00
  • 145:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「なぁ。マリ今日は仕事休み?」『ん?どっちでも。何で?』「いや。飯とかどうしようかって。」『今日は蟲が来た日やからお祝いする?』「笑。ええわ。ええわ。てか掃除用具とか買いに行きたいし、ついでにご飯の用意も買ってくるわ。」『え?作るん?てか作れるん?』「うん?いつもどうしてるん?」『出前か外食。』「あー。バランス悪いやんか。たまには家で食わな。何か嫌いなもんある?」靴を履きながら質問する。『あんまないよ。納豆が苦手かな。』「オッケー。駅前行ってくるわ。」『うん。タクは?』「あの距離は歩くわ。笑」『そう?』
    【タクシーどんなけ乗るんな?】

    2008-04-24 05:03:00
  • 146:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    何だか金銭感覚が違ってて戸惑うが、新しい生活にワクワクしなが駅前へ。「しかしマリは何で風俗してんのやろ?今は金にも困ってないみたいやし。ありがちなホストにハマってるとかか?」なんて考えてみたが、あまり巣の主に深入りするのもよくない。切り替えて買い物をする事にした。 
    食料品売り場を眺めて、何を作ろうか考える。「んー。なんかセレブな食い物のがええかな?セレブな食い物?肉くらいしか思いつかん…。」フラフラと精肉コーナーへ。「はっ!あかんあかん。俺までセレブな気分になりよったわ。毎日外食なんやから、家庭的なもんのがええな。」と改心。
    【危ない危ない。】

    2008-04-24 05:12:00
  • 147:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「せやなぁ。やっぱり和食やな。肉じゃがはベタやし…。お!炊き込みご飯か。ええな。ほな筑前煮と味噌汁…いやいや。」と頭に色々な献立を思い浮かべ、結局、焼き魚、豚汁、もやしとほうれん草のお浸しにする事にした。かごに必要な食材を入れレジに。15万ももってるのは恐ろしいので帰りに銀行で預け入れする。その時ついでにケイコからの入金を確認。お礼のメールを送信して巣に帰る。帰り道、新しい町をキョロキョロしながら帰巣。
    【プラモ屋があった♪】

    2008-04-24 05:18:00
  • 148:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「ただいまっ。」一声かけて玄関を駆け上がる。『お疲れー。』マリの気だるそえな声が、遠くから聞こえた。「さてさて、まずはご飯を炊いてっと…。えっ?」炊飯器には果たしてそれは米だったのか?と疑問に思うくらい腐敗した米があった。「おえっ!くっさ!こらあかんわ。」即座に玄関とキッチンの窓を開け換気。水を大量に流し、しばらく放置。フライパンも錆だらけ…。魚を焼くグリルはカビが…。「あらあら。掃除からやな。」頭にタオルを巻き長髪をまとめる。奥からマリが出て来てキョトンとして『蟲、流石に掃除好きやな。』と言った…。
    【いやいやいや!笑。ここまで掃除せんとほっておける方が凄いがな。】

    2008-04-26 02:15:00
  • 149:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    さてさて掃除も終わりようやくクッキング。「炊飯器スイッチON!鍋に油セット!」広い我が巣に心もはずむ♪マリは呆れた顔で僕を見ていた。『蟲、明るいなぁ。』「まぁな。」『悩みは?』「…あるけど、悩んでも解決せーへんから、悩むのやめや!笑」『いいなぁ…。その性格。』話ながら、料理はどんどん出来ていく。「マリ魚好きけ?」『魚?刺身はよく食べるけど?』「焼き魚は?鮭やけどよ。」『小さい頃からもう何年も食べてない。』「…それはそれで凄いな。」ほうれん草をしぼり、味付け。小鉢に盛り一品完成。豚汁にも火が通り、次々食卓に運ぶ。

    2008-04-26 02:23:00
  • 150:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    最後に鮭を持って行って晩ご飯が完成。『あんた器用やな。こんなちゃんとしたご飯、久しぶりや。』「まぁ何年かはやってたから。」『ヒモ?』「あほ!調理や!てかこの生活はヒモじゃなくて…(以下省略)」『いただきます。』「む。最後まで聞けよ。」『笑。おいしい!お母さんの味付けに似てるわ!』マリはとびきりの笑顔で食べてくれた。「そかそか。マリ仕事は?」『今日は休んだ。』「そか。ほなお風呂入れてくる。」『え?ありがとう。蟲気がきくな。』 
    【お仕事なんで。笑】

    2008-04-26 02:28:00
  • 151:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが夕食を食べ終わる頃、不意に質問して来た。『蟲、ホストの時、ユーカの事好きやった?それとも仕事?』「ん?忘れてるくらいやから仕事ちゃうか?」『笑。適当やなぁ。なぁホストの時本命おった?』「ん?おったよ。」『よく彼女我慢できたな。私、嫉妬焼きやから無理やわ。だって他の女とエッチしたりもあるんやろ?』「ま…そのホストによるな。」『蟲は何ホスやったん?』「何ホス?」『色とか、枕とかあるやん。』「あぁ。俺はこのまんまや。」『へぇ。』

    2008-04-26 02:35:00
  • 152:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『その本命とは何で別れたん?』「まぁ。色々やな。最後は実家に帰ったわ…。」『彼女は店きよった?』「エースやったよ。」『それはお金使うから彼女なん?』「ちゃうよ。まぁ話したら長くなるわ。」『ふーん。』「その子も風俗やったけどな、一生懸命にお金使って、俺をNo.入りさせてくれたんや。何ヵ月も。んでな、俺ある時聞いたんや。何でそんな金使ってくれるの?ってな。何て言うたと思う?」『わからん。』「あんたが好きやからや。の一言だけ。痺れたなぁ笑。んで女にした。」

    2008-04-26 02:45:00
  • 153:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    『へぇ。』「よー喧嘩もしたけど真っ直ぐに俺を好きでいてくれてな、ほんまに俺も愛してた。」『…。』「せやけど最後に言われたわ。あんたは金だけあればいいんやろ?ってな…。ほんまに愛してたからこそ、こたえたわ…。あぁ…俺は隣におる自分の女にさえホストとしてしか見られてへんのやって…。俺の愛は伝わってないんや…。って絶望した。」『…。』「あ。暗いな。やめやめ。笑。」『聞かせて…。』「ん…。そうか?それで結局その子とは終わった。ほんまに好きな人に自分の気持ちが伝われへん事がどんなけ辛いか勉強なった。ほんで最初は自分だけが辛い目した思ってたけど、しばらくしたら、毎日当然のように店来て、売り上げ支えてたその子の気持ち考えるようなった…。」『…。』「俺は甘えすぎてたんや…。」『後悔してるん?』「少しな…。ま、こんな話や。」『そっか…。』「さぁ風呂入りや!」『ありがとう。』
    【エース?お前は元気でやっとるか?俺はめちゃめちゃ元気やで!】

    2008-04-26 02:59:00
  • 154:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが風呂に入ってる間、食器を片付け、余った鮭とご飯で夜食を作る。風俗の子は不規則な夜型が多いからだ。『あーいい湯やった。蟲は?入らん?』「ん。後で入る。これ夜食。」『ありがとう!今からDVD見たりするから助かる。あんたほんま便利やな。笑』「髪の毛乾かそっか?」『え!いいよ。いいよ。ゆっくりすれば?』「そっか。ならまた用があれば呼んでな。」キッチンをでて自分の部屋に。手帳を取出しマリの事を書き込む。
    【自分の部屋あり、給与は15。極楽。極楽。】 

    2008-04-27 18:30:00
  • 155:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    キッチンを挟んだマリの部屋からは朝方までテレビがついていた。次の朝、マリは何処かに出かけるのか、化粧を念入りにしていた。「おはよう。」『あ!おはよう。蟲ってセットとかできる?時間ないのに上手くいかんねん。あー美容室の手違いがなかったら…。イライラする。』「できるよ。」『えっ?ほんまに?』「どんなん?盛ったらええか?」『マジで?』マリは雑誌を取出した。『こんなんできる?』「ん。ま、だいたいこんな感じか。ちょっと待ってな。」カバンからストレートアイロンを取出し、ついでにタクシーに電話。マリの髪をセットしはじめる。「ピン貸して。」『はい。』「よし。後はケープで固めるから目つむって。」『ん。』「こんなんでいい?」『めちゃ上手いやん!これからお金払うからして?』「笑。15ももらってるからええよ。」『あ!はよ行かな!』「タクシー呼んでるから行っておいで。」『あんたマジ助かる!行ってきます!』「はいよ。」
    【女の子の雑誌のセットの仕方見て勉強しててよかった。】

    2008-04-27 19:06:00
  • 156:

    名無しさん

    初めて読みました。どう表現したらいいかわかんないけどとっても面白く、とても魅力的な作品ですね。続き楽しみにしてますね。

    2008-04-28 19:23:00
  • 157:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリが出て行った後、散らかった化粧台を片付ける。「うわぁ。化粧品めちゃめちゃあるな…。これとこれは何が違うねん?」頭にハテナがたくさんできる。「メイクも勉強するか…。」マリの雑誌をパラパラめくる。「おっ?ふむふむ。」雑誌にはメイク前、後の写真があり、なるほどかなり目が大きくなったり、肌が綺麗になったりしている。「チーク?何それ?ん?あぁ頬紅な。グロス?あぁ。あの唇が天ぷら食べた後みたいなのか。」こんな調子で本を熟読。「んー。いまいちわからんな。やっぱ実際にやってみんと…。」
    【メイクする?俺を…】

    2008-04-29 04:24:00
  • 158:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「あかん。あかん。この化粧品だって高いかもしれんし、勝手に使ったらあかんな。」と改心。掃除機をかける前にマリにメール。〈マリ?部屋掃除機かけていい?後、洗濯したいけど下着類は自分でする?〉送信。しばらくするとマリから《何で?やってよ?掃除機かける時、ピアスないか探してみて?》「…何だよ。最近の子は下着を見られるのに、抵抗はないのか?ピアス?どんなだよ。」ぶつぶつ独り事。それでもフローリング床を目を皿のようにして観察。【ジロジロジロリッ!】 

    2008-04-29 19:57:00
  • 159:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    探し始めて30分くらい経過。流石に嫌気が差し、途方に暮れていると…。「おっ!そうや!掃除機のゴミパックを替えて、新しくしてからこの部屋中を吸い込むぞ!ほんなら中にあるかも!」と閃く。早速新しいゴミパックを持ってきてチェンジ。万が一を考えて、古いほうのゴミパックをゴミ袋に広げてチェック。「あ!マリ…。硬貨めっちゃ吸い込んでるやん。」五百円玉に百円玉…。合計千円はある。「…。お金稼いでたってこんな事してちゃいけないんだぜ…。」少し悲しくなりながらも、掃除機をかけはじめる。 

    2008-04-29 20:05:00
  • 160:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    「しかし無いな…。」掃除機にはまったくヒットしない。「あー。ない。」疲れたのでマリのベッドに腰をおろす。 
    「あ…まさかな。あれじゃないよな?」ふと枕元の電気スタンドに目をやるとシャネルのピアス。写メを撮りマリに送信〈マリ。ピアスてこれけ?〉しばらくするとマリから《それ!どこにあったん?》とメール
    【orz】
    「何やねん。時間の無駄かよ。」とふてくされるも、マリには〈ベッドの電気スタンドの所にあった笑。〉とメール。

    2008-04-29 20:10:00
  • 161:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    気を取り直して、洗濯を始める。あんまりないが、ベランダにでてみると流石に8階。「なかなか高けぇな!」感心しているとお隣さんも洗濯干し。軽く会釈をすると『こんにちは。』と言われ、動揺。聞こえたかわからないくらいの小さい声で「こんにちは。」手早く干し終わり、いそいそと部屋に逃げ込む。「知らない人は苦手。苦手。」さて、掃除も一段落。先程掃除機に吸われていた哀れな硬貨を洗剤で洗ってあげる。そしてマリにお手紙を書き、部屋に置いて、マリの部屋の扉を閉める。
    〔小額でも、お金はお金。自分で稼いだ金なら少しも無駄にしたらあかんで。全力で使え!〕
    【これでよし?】

    2008-04-29 20:21:00
  • 162:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリがいつ帰るかわからなかったので、メールで〈帰る前にメールして〉と送信。買い出しに行く事にした。「しかし、あのスペシャルパフェ…。1人で完食できる人はいるのか?」喫茶店の横を通る時ふと思い声に出す。…と携帯が鳴る。マリだ。『もしもし?』「はいはい。こちらは蟲。」『笑。何それ?あんな蟲、今日は愛人にしてもらってる人に会うから、メールとかやめて。』「うむ。」『んで泊まりやから適当に過ごしてな。ごめん。じゃ。』返事をする間もなく終和。「そうか。突然にやる事がなくなったな…。」買い出しに行くのを中止した。
    【少し淋しいな。】

    2008-04-30 01:50:00
  • 163:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    マリからの連絡で予定がなくなったので駅前をブラブラ。「ん?誰かにつけられてる気配…。」知らん顔しながら、歩く。…歩く。いつまで歩いても見られてる気配。「職質かな…。」流石に気味悪くなり思い切って振り返る。「お!犬コロか!ビックリした。」そこにはまだ少し小さいフレンチブルドックと見られる犬がついて来ていた。「…笑ってる。」何だ犬かと気にせず歩くもついて来る犬コロ様。仕方なく側により話しかける。「お前何でついてくるんだよ。飼い主は?」[ハッハッハッ!]「暑いのか?」何を聞いてもハァハァ言いながら笑う犬コロ。
    【フレンチブルドックてほんまに笑ってるみたいに見えるな。】

    2008-04-30 15:45:00
  • 164:

    蟲◆mkVJdF/EM.

    懐に少し余裕があるので飲み物と食い物でも買ってやるかとコンビニに立ち寄る。ちゃんと待つ犬コロ様。ソーセージと水を購入。(犬コロ様用。)カフェオレとからあげくんも購入(蟲用。)「お待たせ。」犬コロ様は尻尾を振り、笑う。「可愛いなお前。男か?女か?」持ち上げて確認。「野郎かよ。ま、いいか。」その場に座り込み、犬コロにソーセージを奉仕。[…。プイッ]「…食べろよ。」何故か食べない犬コロ様。同時に僕のからあげくんを凝視。「ん?こっち?喰うか?」からあげくんを奉仕。[パクパク。]笑いながら食べる犬コロ。「ずっと笑ってるな。お前。」手に水を入れて近付けてみる。[…プイッ]「…飲めよ。」「水はいらないのか?」カフェオレを凝視する犬コロ。「?飲むか?」[ピチャピチャ。]「…。」仕方なく、僕はソーセージと水を。犬コロはからあげくんとカフェオレを食べはじめた。
    【それ俺の!】

    2008-04-30 15:58:00
  • 165:

    「お前どこの犬だよ。」[…。]アゴを地面につけ休んでいる犬コロに問う。「…。困ったな。俺はもう行くぜ。」立ち上がり、駅に向かうとあわてて付いてくる犬コロ。「…。お前は何故俺にだけついてくるんだ。」[タッタッタ。]やはり付いて来る犬コロ。タクシー乗り場のオッサンに質問。「この犬ってよくこの辺おる?」『?いや?見た事ないな…。』「…。」飼い主を探してみるがいない。仕方ないのでしばらく駅前で1人と1匹でたたずむ。
    「俺もお前みたいなもんだから、飼ってやれないぜ?犬。」[ハッハッハッ。]「笑うなよ…。」辺りも暗くなりはじめて来た。マリの巣に帰ろうと歩くとやはり犬コロは付いて来る。
    【困ったなぁ。】

    2008-04-30 19:44:00
  • 166:

    ゆっくり歩いたが、マリの巣に着いてしまった。「どうしよう。」…とマンションから出てきた人がミニチュアダックスを連れていた。「おっ?ペットありか!しかし俺は寄生してる身だからなぁ…。」マリは犬を飼うことを許してくれるだろうか?「聞こうにも、今日は聞けないし…。お前タイミング悪いよ。」[ハッハッハッ。]「笑うなって。」このままいても仕方ないのでマリの巣に連れて行く事にした。「行くぞ。」ちゃんと付いて来る犬コロ。
    【可愛い。可愛い。】

    2008-04-30 19:53:00
  • 167:

    マリの巣に入り自分の部屋に。「ここなんだが。お前吠えたりするなよ?マリにまだ聞いてないんだから。」[ハッハッハッ。]「今日だけになるかもしれないぜ。」ちゃっかり僕の布団にちょこんと座り笑う犬コロ。「まずお前を洗う。汚いかもしれないから。」[ハッハッハッ。]「暑い?ま、シャワーするぞ。」風呂場へ。どこに行くにも付いて来るのがなかなか可愛い犬コロ。シャワーしても嫌がらずおとなしい。「よしよし。風邪引くから乾かそうな。」[ジャブジャブ。]「あ!その水飲むな!」ドライヤーをあててもおとなしくしてる。「お前飼い犬だろ?」[ハッハッハッ。]飼い犬だと飼い主はさぞ心配してるだろうと、紙に僕の携帯番号を書き、写真を貼って駅前にビラを貼らしてもらう事を思い付く。 
    「カメラ買わないとな。」

    2008-04-30 20:01:00
  • 168:

    名無しさん

    やっぱおもしろいです!最近更新をワクワクしてます。

    2008-04-30 22:48:00
  • 169:

    >>168さん
    ありがとうございます。
    申し訳ないのですが、次回からは感想スレの方に書き込みして頂けたら幸いです。

    2008-05-02 05:47:00
  • 170:

    「そうと決まれば、早速カメラを買いに行こう。」[チラリ…]立ち上がるとこちらを気にする犬コロ。「お前は留守番してろよ?」[…。スッ。]言葉を無視して立ち上がる犬コロ。「一緒に行くか?」[フリフリ。]尻尾を振り、行きたいアピールをするので、仕方なく小脇に抱えて、マリの部屋に鍵をかけ、外出。
    道行く人達が犬コロを見て微笑む。「お前笑ってるみたいやからやろな。」[スタスタスタ。]返事はかえって来ないが話し掛ける。ペットは人間の言葉はわからないが、わかろうとすると何かの本で読んだからだ。しばらくするとコンビニに到着。「待ってろ。」と一声かけて、コンビニへ。犬コロをつなぐ紐なんかないのでダッシュでカメラを購入し、犬コロの所に戻る。「お。賢い賢い。待ってたな。」[フリフリ。]尻尾を振りついて来る。
    【君は本当に可愛いなっ!】

    2008-05-02 05:58:00
  • 171:

    「さて、お前首輪してないんだな。」[タッタッタ。]「いらねぇか…。」しかし、連れて歩く時に不便だと思いペットショップなんかないかななんて携帯で検索する。「お。結構近くにあるな。歩くか。」[スッ。]「どした?犬コロ。」携帯に気をとられている間に座り込んでる犬コロ。「疲れたのか?」[ハッハッハッ。]「だらしねぇな。」犬コロを抱き上げる。[ペロペロ。]「うわっ!顔舐めるな!」抱っこされて笑う犬コロ。

    2008-05-02 06:07:00
  • 172:

    しばらく歩くと、ホームセンターらしきものがあった。「おっ?ここにもありそうだな。」[…。]犬コロと一緒にホームセンターへ。「ペット…。ペット…。あ!あったあった。ほう何か種類めっちゃあるな。どれにしようか…。」まったく興味なさげな犬コロ様。「これは?お前白いから赤がいいな。これ。」[…。]試着してみる。「いいやん。これにしようぜ。」腕から肩を通すタイプを購入。ついでにデンタルガムも購入してやる。「お前ワクチンとか打ってなさげだな…。明日病院に行くか。」早速リードをつけて、歩かせる。引っ張るなよ。と言いたげな犬コロ様を連れて、マリの巣に帰った。
    【ランランラン♪】

    2008-05-02 08:43:00
  • 173:

    マリの巣に着くなり、水をがぶ飲みする犬コロ様。疲れたのだろうそのまま寝てしまった。「さて、ご飯食べるか。」いつもなら、飼い主の残飯を皿洗いがてらにつまんだら終わりなのだが、今日は主もいない。自分のためだけにご飯を作るなんて面倒だ。 
    「何か買ってくりゃよかったかな…。」冷蔵庫を覗きながら独り言。後ろにはやっぱり付いてくる犬コロ。「お前は、ソーセージがあるよ。ま、適当に何か作るか。」渋々、料理を始める。「ソーセージをボイルして、目玉焼きを焼こう。パンもあるしな。」  
    【人の飯なら、喜び作るが、自分の飯となりゃ、面倒。面倒。】

    2008-05-02 08:53:00
  • 174:

    皿に盛り付けなんか考えないで、適当に置く。「さ、でーきた。」料理中ずっと上を見上げてた犬コロも慌てて付いてくる。「いただきます。」手をあわせ食べ始めると、痛いほどの視線を感じる…。[ハッハッハッ。ハッハッハッ。]「ソーセージ喰うか?人間用の味付けだから、体にあんまりよくないと思う…。」ソーセージを置く。[パク。]「うまいか?」気に入った様子で食べる犬コロの頭を撫でる。「このまま一緒にいれたらいいな。」[フリフリ。]食器を片付け、犬コロのトイレを作り、今日は眠る事にした。もちろん犬コロを抱き締めて。

    2008-05-02 09:06:00
  • 175:

    次の日、昼過ぎに起きてギクリとする。「うぉっ!こんな時間。マリ帰ってるんじゃ…。うぉっ!あ!そうかお前がいるんだな。」起きた僕を見て尻尾を振り近づいてくる犬コロ。 
    「おはよう。」犬コロに挨拶して、リビングをこっそり覗く。「よし。まだ帰ってないな。」犬コロの事でマリに連絡したかったが、まだマリから連絡がなかったのでやめておく。「お。そうだそうだ写真を撮らないとな。」部屋に戻ると犬コロ様が僕が作った、簡易トイレにきちんと用をたしていた。「偉いな。お前。やっぱり飼い犬だろ?家出か?」[…。]都合の悪い事は全て笑う犬。そうでなくてもずっと笑顔のこの犬コロは、僕の心を癒してくれた。

    2008-05-02 09:17:00
  • 176:

    取り敢えず、何枚か犬コロの写真を撮り、後で現像して、駅前に貼るビラを作る事にした。
    「はい。笑って笑って!」[…。]わざとか?と思うくらい無愛想な犬コロ。今日はご機嫌ななめらしい。「はい。ラストな。」我慢できなくなったのか、最後は笑顔。「これでよし。」カメラ片手にスーパーへ。「犬コロ。飼い主見つかるといいな。」[ハッハッハッ。]スピード写真に預けて、そのまま散歩。30分ほどでできるとの事なので、ソフトクリームなんかを購入して椅子に座り、犬コロと美味しくいただいた。

    2008-05-02 09:38:00
  • 177:

    あっという間の30分。犬コロを連れて、また写真屋へ。「ほう。なかなか上手く撮れてるわ。」[ハッハッハッ。]「帰ろうぜ。」駅前から歩いていると着信。「もしもし。」『蟲?今何処?お腹すいた。』「あ。帰った?ごめん。駅前やからすぐ帰る。」『わかった。』電話を切り終わってから犬コロの事を言うのを忘れる。「何て言おうか…。」[ハッハッハッ。]僕の心配をよそに笑う犬。
    【あんた明るいね。】

    2008-05-02 09:44:00
  • 178:

    「ただいま。」[…。]玄関に犬コロをつなぎ、マリの部屋に。ノックして入室。『おかえり。』「マリ?あんな、言いにくいねんけど…。」『え!?なに?出て行くん?お金?お金足りひん?』「いやいやいや。違うねん。あの…。犬とか好き?」『え?犬?好きやで。』「よかった。あんな、マリがおらん間に駅前で変な犬になつかれてしまってな。」『へぇ。』「多分飼い犬やねんけど、見つかるまでここにおらしたらあかん?」『ええけど、蟲の部屋で飼いや?』「ほんま!?ありがとう!」『どんなん?』「ちょっと待ってて。」慌てて犬コロを連れに行く。「真面目な顔してろよ?」[ハッハッハッ。]「笑うなよ…。」やっぱり笑う犬をマリに見せる。
    『むっちゃ可愛いー!こんなん捨て犬な訳ないな。』「せやろ?せやから駅前にビラを貼るつもりやねん。」『そうなんや。ほんま可愛いな。笑ってるみたい。』「せやろ。」
    【ニヤニヤしない!犬コロ!】

    2008-05-02 09:53:00
  • 179:

    マリが犬コロをおいておくのを許してくれて肩の荷がおりた。意気揚々とマリのご飯を作る。犬コロはほっぺを左右に伸ばしたりしてご満悦。犬コロは横目でチラチラ僕を気にしてる。「さ、今日はチャーハンにしたよ。」『ありがとう。』「犬コロ。行くぞ。」『なついてるなぁ。犬コロって。笑。名前はつけへんの?』「まぁ、まだ飼う訳ちゃうし。」『そうなん?』「うん。」マリの部屋を出て自室へ。
    【名前…名前ねぇ?】

    2008-05-02 10:02:00
  • 180:

    「んー。名前か。お前名前ほしいか?」[ヘッヘッヘッ。]「…。何かいい名前なぁ…。犬が一番いいやすいし…。」[ハッハッハッ。]「ま、犬でいいよな。」思いついたらつける事にした。さてマリが食事を終えたっぽいので食器を洗いにキッチンへ。犬コロもオトモする。まったく役にたたないが、可愛いので許す。食器を洗う僕の横でアゴを床につけ待機。『可愛いな。蟲大好きなんやろな。』「そうか?」『ビラできたん?』「ん?後、文章書くだけ。」『やろっか?』「ええよ。ええよ。」『おいで。』[…。]マリが呼んでも犬はチラ見するだけだ。 
    【女は嫌いかい?】

    2008-05-02 18:13:00
  • 181:

    「よっしゃ。こんなんでええか。捕獲した日にちと連絡先書いたし、犬の写真も貼った。」『いいんちゃう。写真どーしたん?』「撮った。カメラで。」『デジカメあったのに。』「ん?使い方よーわからんから。」『あんた器用か不器用かわからんな。』「ほっとけ。早速明日、駅前行こ。」『蟲が飼えばいいやん?』「俺、住む所安定せんから…。」『ここにずっとおったらあかんの?』「!!」マリの口から当たり前に発せられた言葉に僕は驚いた。そして感動した。「馬鹿野郎。」なんて照れ隠しに言ったが、その言葉にどれだけ感謝しただろう…。
    【ありがとう…。】

    2008-05-06 05:40:00
  • 182:

    部屋に寝ている犬コロを見て、「飼い主見つかるといいな。」と話しかける。[スースースー。]幸せそうに寝る犬コロ。
    僕がもっと普通で、ちゃんと住む所があれば…このままお前と暮らせたかな…?
    もしちゃんと働いていたら…お前とこのまま暮らせたかな…?
    僕は自分の両手を見つめた。そして思いっきり自分の横っ面を殴った。鈍い音に驚いた犬が僕に駆け寄る。そんな犬を抱き寄せ、「なんでもない…。」と呟き眠りについた。

    2008-05-06 05:52:00
  • 183:

    次の日、マリが仕事に行くのを見送った後、犬コロをオトモに駅前へ。コンビニでカラーコピーでビラを何枚かコピーして、駅員に貼っていい場所を聞く。なかなかいいオッサンで構内にも何枚か貼ってくれた。「サンキュー。」お礼を言って、犬と来た道を帰る。帰りにコンビニでおやつを買わない事が不服だったのか、急に歩かなくなる犬。「まったく。」[…。]肩に担ぎ上げる。馬鹿にしたように笑う犬コロ。「世話のやける奴だな。」そう言って、僕も笑った。

    2008-05-06 06:05:00
  • 184:

    犬コロと同居しだして1週間くらいたった頃、携帯に見知らぬ番号から何度か不在着信があった。キッチンでマリの食事を作っているとやはり知らぬ番号から、電話。『出ないの?』とマリが聞くので、知らない番号だし、気味悪いので放置してるとマリに言うと『ビラ見たんじゃない?』と一言。「あ…。」すっかりそんな事忘れていたしだい。
    慌てて掛け直す。
    「もしもし?」〔すいません。駅前のビラ見たんですが…〕
    【おっ!キタコレ?】

    2008-05-06 19:27:00
  • 185:

    「あ!ハイハイ。飼い主さんですか?」〔はい…。買い物してる間にいなくなってしまって。〕「そうですか!」良かったとテンションも上がりでかい声になる。「犬持って行きましょうか?」〔え?いいんですか?〕「ハイハイ。こちとら暇で暇でやる事なくて…。」〔は?〕「いやいや。汗。じゃあ駅前で待ち合わせしましょう。」〔わかりました。〕と約束し、終和。『何て?』「かくかくしかじかで…。」『そうなんや。ほな行くん?』「あぁ。」『蟲はそれでいいん?』「…。しゃーないな。せやしこいつかって、前の飼い主見たら喜ぶわ。」
    マリはまるで僕の気持ちを見透かしたような目でしばらく見つめ気だるい声で『そう…』とだけ言った。

    2008-05-06 19:37:00
  • 186:

    いつもの散歩みたいにリードを持つと何にも知らずに喜ぶ犬コロ。マリが客に買わせたって持ってきた犬コロお気に入りの高い服を着せて、僕は「いこっか…。」と小さい声で言った。たった1週間暮らしただけなのに、この部屋には犬コロとの思い出がいっぱい詰まってた。玄関に行くと、元気のない僕の肩を押すようにマリが『気をつけてね。』と大きな声で言った。

    2008-05-06 19:43:00
  • 187:

    「おうよ。」元気なふりをして勢いよく玄関を飛び出した。何度か1人と1匹で歩いた駅前までの道を踏みしめて歩く。コンビニで犬コロが大好きだった、からあげくんを購入する。ふと外を見るとお座りして僕をちゃんと待っていた…。「オイ!犬コロっ!何でお前はそんなに賢いのに俺に付いて来た?」[ハッハッハ…。]「お前が前の飼い主から離れへんかったら、俺、こんな辛い目せんでもよかったやんけ…。」[ハッハッハ?]次の瞬間、僕は言葉も何もわからないで無邪気に笑う犬を力いっぱい抱き締めた。
    【人の気持ちも知らねぇで…】

    2008-05-06 20:02:00
  • 188:

    [ゲホゲホ。]むせる犬コロ。「…行くぞ。」いつもならUターンする道を駅前の方に行くので、不思議そうにする犬。何度も涙が出そうになるのをこらえて、歩きだす。駅前に着くと線の細い女の子が話しかけてきた。〔蟲さん?〕[ハッハッハ!]犬コロが尻尾をふる。「はい。」〔ありがとうございます。ラウおいで!〕[ハッハッハ!]尻尾をふり駆け寄る犬コロ。「ラウってのか…。」〔この子笑ってるみたいでしょ?だから笑うのラウ。あは。〕「いい名前ですね…。」

    2008-05-06 20:34:00
  • 189:

    僕は、抱き上げられた犬コロに「リードとその服は俺からの餞別だ。」と言った。
    「じゃあ。」足早に立ち去ろうとする僕を犬コロは飼い主の腕から飛び降りて追い掛けて来た。[ワンワンッ!]「…。」無視して歩く。[ワンワンッ!]立ち止まらない僕を一体どうした?と言った風に周りをぐるぐる回る。
    今まで押し殺していた感情が一気に溢れだし、僕はその場に泣き崩れた。

    2008-05-07 15:14:00
  • 190:

    「犬コロ。俺はお前を飼ってやれないんだ。」[…。]「俺は自分の事しか考えてない奴なんだ。俺と一緒にいてもろくな事ないぜ。」[…。]「見ろよ。お前には素敵な飼い主さんがいるじゃないか。」涙をサッと拭い、犬コロを抱き上げ飼い主に渡す。「今度こそお別れだ。元気でな。」犬コロの頭をポンと叩き、その場を後にする。〔また時々会いに来てあげて下さいね!〕そんな声が背後から聞こえて振り返る。今度はしっかりと抱かれた犬コロは、今までで1番の笑顔でいつまでもいつまでも、僕を見つめていた…。

    2008-05-07 15:49:00
  • 191:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 192:

    犬コロがいなくなった帰り道、独り歩く。マリの巣に着いた頃、聞き慣れないメール着信音がが鳴った。件名…0*0*********「ショートメール?」画面を見る。本文…[これも何かの縁かと思いますので、また連絡していいですか?]ラウの飼い主からだった。いいですよとアドレスを貼りつけメール送信。エレベーターに乗り込み、マリの巣の扉を開ける。
    「ただいまっ!」何もなかったかのように元気に振る舞う。「あれ?」マリの姿がない…。キッチンに行くと置き手紙があった。
    「なになに…?」[蟲へ。今日は辛かったね。私はあなたが望むならずっとここに住んでもらってもいいと心から思ってるよ。私がここにいたら、気を使うと思うから、今日は友達の家に泊まるから。たっぷり泣いたら?笑。マリ]「…。ありがとう。」マリの手紙を読んで無意識に感謝の言葉が出た。僕は自分の部屋に戻り、ベッドに腰を下ろした。

    2008-05-10 14:22:00
  • 193:

    「…。疲れた。」ラウがいなくなった部屋で僕は大の字になった。マリがここでずっといてもいいと言ったのに、何故ラウを飼わなかったのか自分に問う。表向きは前の飼い主に返した方がいいと思ったからだ。でも本当にそうか?僕はきっとこう考えたんだ。ラウがいたら、もしこの巣を出て行く時に面倒だ。置いてきぼりにする事はできないし、かといって次の主が決まらない間、ラウをどうするのか?銭湯にも泊まれない。野宿するか?犬の為に?巣の主が犬を嫌いだったら?また違う主を探す?僕は自分の弱点を知っていた。それは見切りの早さだ。

    2008-05-10 14:42:00
  • 194:

    どんな局面においても自分を守る事をまず第一に考える。慎重すぎるほどに。自分の今の生活を脅かす者は全て排除する。やってみなきゃわからないなんて事はしない。偉そうに女の子に説教なんてしながら、結局は自分が可愛いんだ。今まで寄生してきた飼い主にだってそうじゃないのか?自分の都合が悪くなったら、自分に害を及ぼすと考えれば、やってみなきゃわからない事に挑戦しなきゃならなくなれば…見切る…つまりは…逃げる…。
    僕は1つ確信していた。このままじゃ…。
    【ボクハ、イツカデキル、最愛ノヒトモ…必ズ…見棄テルト…。】

    2008-05-10 15:15:00
  • 195:

    僕は、たった1匹の小さな犬にそれを再認識させられた。
    心に…体に…染み付いたその習性はちょっとやそっとじゃとれない。ラウの写メを見ながら、それでもラウがいなくなって少しホッとしている自分に反吐が出た。
    あんなに泣いたりしたのはただのポーズか?いや違う、僕は犬1つ飼えない不甲斐ない自分に涙した?だとしたら何故今、ホッとしてる?よかったな。自分の居場所守れて…。
    僕は自分がもうわからなくなり、その夜はもう寝る事にした。

    2008-05-10 15:32:00
  • 196:

    ガチャン。
    玄関のドアの音で飛び起きる。『ただいま。』「おはよう。おかえり。そして昨日はありがとう。」『よー泣いた?笑。』「…。」『ま、ええわ。』「腹すいてる?」『いや。さっき食べてきた。』「そうか。」『蟲?今日暇?』「今日も糞も毎日暇。手のかかる犬はもうおらんし。」『デートせーへん?』「デート?」『笑。冗談。買い物付き合って?』「ええよ。仕事は?」『今日は休む。』「結構な頻度で休むな。」『ま、愛人探しやから。』「ほぅ。」『ほな用意してや。』「へいへい。」マリに促されシャワーを浴びて、着替える。
    【何を買うのかなっと】

    2008-05-13 09:16:00
  • 197:

    支度も終わり、2人で巣を出る。『出会ってから、初めてじゃない?出かけるの。』「せやな。」『もっと嬉しそうにしーや。』「…。」怪訝な顔で僕がマリを見るとマリは腕を組んできた。
    「おいおい。」『いいやん!さぁ覚悟しーや!連れ回すで!』「…。」タクシーを停め、乗り込んだ。「またタクシーかよ。たまには歩こうぜ。」『いいから。いいから。』何処に行くのかもわからないまま、車に揺られる事、15分。繁華街に出て来た。
    「すげーな。人多っ…。」『久しぶりちゃう?こんな街中くんの。』「…まぁな。しかし、人が…」『笑。さ、まず一軒め。行くでっ!』 
    【1軒め?】

    2008-05-13 09:37:00
  • 198:

    しばらく歩くとマリが急に曲がる『ここっ!』「うおっ!」『可愛いー。これ雑誌に載ってた!あ!これも可愛い!』「服かよ…。」いつも気だるそうなマリはイキイキとして洋服を選びだす。「やれやれ…。」『これめっちゃ可愛い!な?蟲?これとこれどっちが似合う?これはなここにリボンが何たらかんたら…(以下省略)』「…どっちも買えよ。」『…せやなっ!』「…。」服を2着購入。『次行こ!次。』「…次何買うん?」『靴♪』「靴?よーけあるやんけ。」『あれは去年の!』「え?去年のとか…新しい年になる毎に変えるん?」『当たり前やん。』「へぇー。水着感覚やな。」
    【俺なんか…ずっとこの靴…一張羅。】

    2008-05-13 09:52:00
  • 199:

    「まだ歩くん?」『さっきたまには歩こう言うたやん。』「…。」買い物となると、女の子は元気になるのか?と不思議に思う。『着いた。』「じゃ。俺はあっこで座っとく。」『はぁ?あかんで。蟲に選んでもらうねんから。』「…。店員がおるやん。」ぶつくさ愚痴を言いながらも巣の主に従う。『ほらほらこれ見て?こっちとどっちがいい?』「…だからどちらも買えと。」『あかん。選んで。』靴なんかはけりゃいいじゃねぇかとマリが持つ靴を凝視。
    「…こっち。」『へぇ?何で?』「マリはよく白い服着るから。足元はにぎやかな色がいいかと。それにこっちのが踵が低いし転んだりしないかなと。」『ん。ファッションセンスはひと昔前やけど、気づかいがええな。んなこれ。』 
    【ひと昔前?昭和初期やがな!】

    2008-05-14 01:27:00
  • 200:

    さて靴も購入したし帰るのかと嬉しく思ってたら、『ちょっと休憩する?』とマリ。「休憩?まだどっか行くん?」『後は化粧品とか…スカルプとか…(以下省略)』「…。」気が遠くなるが、前日、巣を空けてくれた恩があるので黙ってついてく。荷物は左手に2袋。『あっこでお茶しよか。』「うむ。」店内はひんやり涼しく、普段駅前までしか歩かない僕は、少し汗をかいていたので嬉しく思う。『何する?あたしカフェオレ。』「ならアイスコーヒー。」『甘いのは?』「いいの?なら季節のケーキ。」店員がクスッと笑う。『ほなそれ2つな。』店員につげるマリ。
    【店員は何故笑ったのだ?】

    2008-05-14 01:36:00
  • 201:

    お待たせしましたとの声で運ばれるケーキとコーヒー。ニコニコしながら店員が置くのを待つ。ちゃんと店員が立ち去ってから食べはじめる。「うまい!」『あんたほんま子供みたいやな。』「そうか?」『店員笑うてたやん。』「おう。おう。あれなんでやろな?」『あんたみたいなちょいイカツイ男が私に確認してから、ケーキ頼んだからちゃう。笑』「へぇ。イカツイか…。」『あんた背でかいし、ガタイいいやん。』「そか?ま、いーわ。」『あんたいつもそっち座るん?』「ん?おう。」『わざと?』「癖。」『癖?ホストの時の?』「ん。」『ちゃんと教えて。』
    【うるせーな。せっかくケーキ喰ってるのに】

    2008-05-14 01:57:00
  • 202:

    「一言で言うとレディファースト。そっちのが背もたれちゃんとしてるし、人に後ろ通られたりせんから落ち着くやろ。」『まぁ確かにな。』「終わり。」『短っ。そう言えばあんたって常に気にしてるよな私の行動。』「んなことないやろ。」『だって段差があるとこは必ず後ろ向いてあたし確認するし、車通りがある所並んで歩く時はあんたが必ず車道側歩いてる。』「へぇ。よく見てるな。」『全部癖?』「ま、そんな所。」『ふーん。あんたとおったら退屈せんな。』「早よケーキ食えよ。」『あ。そやな。』
    【ちっ。喰うのか。】

    2008-05-14 02:13:00
  • 203:

    しばし2人でまったりした後、化粧品を購入しに行く。『疲れた?』「普通。」『…。』少し歩くと綺麗なおねいさんがいる化粧品店に到着。「ここで待ってる。」少し離れた場所で言う。『何でなん?』「女の子しかいないから。」『変な子…。』首をかしげるマリ。「あー。しんど。」その場にしゃがみ、遠目にマリを観察。座って熱心に何かを聞いている。「…。化粧品なんて全部一緒ちゃうんかな?」ファンデーションやら口紅やらを出しているカウンター。観察を続けてるとマリが振り向きニコリと笑う。つられて俺もニヤニヤしてみる。
    手招きをするマリ。
    【???】

    2008-05-16 08:55:00
  • 204:

    仕方なく腰をあげ、マリの元へ。「何?」『なぁ、ファンデどっちがいいと思う?』「ん…。(そんなのまったくわかんねぇよ。)」野性の勘を頼るかと思ってたら、不意にカウンターの綺麗なおねいさんと目があう。「んー。」手を左側のファンデーションに向けようとするとおねいさんの眉間にシワがよりかける。「…。(えっ?こっちダメ?じゃあ右側?)」『どっちよ?』マリがせかす。「ちょっと待て。」右側のファンデーションに手を伸ばす。おねいさんニコリ。「…。(こっち?こっちなんだなっ!)じゃあこっち。」とフェイントで左を指す。  
    【ふふふのふ。】

    2008-05-16 09:14:00
  • 205:

    『ほなそれ。』かしこまりました。と奥に引っ込むおねいさん。無事購入し、店を出た所でマリに質問。「なぁなぁ。さっきの化粧品、どっちが高かった?」『えっ?左側。何で?』「いや。何でもない。(orz…)」敗北感を感じながら歩く。「次は?どこ行く?」『んー。スカルプやねんけど。ネイルしよっかなー。』「そうか。(違いがわかんねぇよ。)」『ネイルやったら蟲暇やろ?』「?(さっきからずっと暇じゃ。)」『1時間くらい待つけどいい?』 
    【地獄やな…】

    2008-05-16 09:27:00
  • 206:

    『蟲、待てる?』「へいへい…。」と不意に財布を取出し、万札を差し出すマリ。『はい。これでどっか行って時間潰して?』「…おいおい。そんなんあんま良くないで。俺はちゃんと給料もらってるし…。」『?』「金に物言わすなって言うとるねん。」『いらんの?なら行って来るわ。』「…。」首をかしげながら、ネイルサロンに入って行くマリを見て…僕は昔を思い出していた。

    2008-05-22 01:41:00
  • 207:

    【回想】
    『蟲っ!シャンパンもう1本!』僕が席に戻るなりアリサが言う。来店5回ほどの客だ。職業は美容師見習い。「おいおい。大丈夫かよ。」『大丈夫。まだお金あるから。』「あほ。そうやなくて、明日も仕事やろ?見習いやったらまだ周りに気使わなあかんし、仕事見とかなあかんやろ?酔って朝帰りしてできるような甘い仕事か?」『まだ酔ってないし。』アリサは口をとがらせる。「大体な、見習いの給料でそんな飲み方できるほどうちは安くないで。」『…。』「チェックするで。」『…うん。』ボーイに合図を送り、チェック。 
    『ごめん。』エレベーターでアリサがポツリ呟く。「何が?」『酔って調子乗ってもたから。』「美容師なるんが夢なんやろ?アリサ言うてたやん。将来店出したいってよ。そんなんで叶うか?」『…最近、うまくいってないねん。』「そらそやろ。夢やねんからそう簡単に上手い事いって叶う訳ないやんけ。」『わかってる…。』アリサはポロポロ泣き出した。
    【あちゃー。言い過ぎた?】

    2008-05-22 02:04:00
  • 208:

    気まずい空気が流れた後、『今日は仕事いかへん。』アリサが言った。「…。」僕は深いため息を吐く。「勝手にしろ。」エレベーターが階下につき、アリサを送り出し、無言でエレベーターのドアの閉ボタンを押す。 
    閉店業務を終わらし、メールを自分が持ってる客、一人一人に送る。「これでよし。あー。疲れた。」ソファに寝転ぶ。 
    [蟲さん?]「あい?」[あの…下でアリサさん寝てますけど…。]「ハァ?」[結構飲んでましたから。]「そか…。ありがとう。」舌打ちをしながら店を出る。 
    【やれやれ。】

    2008-05-30 18:39:00
  • 209:

    エレベーターを降りると情報通り、アリサが落ちてる。「おい。アリサ!アホかお前。風邪引くぞ。起きろ!」『スゥスゥ…。』「爆睡かよ。」強めに揺さ振ったりしてみたが、反応なし。「あー!もうせっかく仕事終わったのに!」うんともすんとも言わないアリサにほとほと困りはてる。「こいつの家知らんし、放置もな…。俺の家は誰にも知られたくないし…。ホテルしかないか…。」タクシーを停め、運ちゃんに手伝ってもらい、二人がかりでようやく席に乗せ発車。 
    【あー。厄日やな。】

    2008-05-30 18:45:00
  • 210:

    「あの運ちゃんさ、このへんのじゃなくて、なるべく遠めのホテル行って?」《ホテル?》「うん。何て言うんか、シティホテル?」《シティホテル?》「あー。めんどくさい。ラブホや。ラブホ。」《あ。はいはい。》運ちゃんがニヤリと笑う。後部座席でアリサを突いてみたり、軽く蹴ったりするも反応なし。しばらくするとなかなか綺麗なホテルに着いた。 
    降りがけに運ちゃんが手伝いますと言ったが断り、気合いでお姫様抱っこ。酔って寝てるから重いったらない。部屋のボタンを適当に押し部屋へ。 
    【何の筋トレやねんな。】

    2008-05-30 18:53:00
  • 211:

    部屋につくなり、ベッドにアリサをほり投げる。「あー。重た。」しかし起きないアリサ。「まったくええ気なもんやで。」服を着替えさせたかったが、面倒なので却下。久々に来たラブホの綺麗さに感動する。ひとしきり、施設案内や、テレビ等を見たらいつのまにか寝てしまっていた。
    『蟲。蟲?起きて?』アリサに起こされる。「ん…今何時?」『…てかごめん。』「かまへんけど。」『こういう所よく来る?』「来るかっ!」『そうなんや。』「他の客に見られてて、売り上げ落ちたら、頼むで。笑。」『えーっ。』「ちょ俺シャワー浴びるわ。」『えっ?エッチするん?』
    【するかっっ!】

    2008-05-30 19:00:00
  • 212:

    セットしたまま寝てしまったので気持ち悪いったらなくて、シャワーで念入りに頭を洗う。鼻歌まじりに体も洗い、シャワー室を後に。「おっ?ガウンなんかあるんや。へへ。」初めてみるガウンに袖を通しご満悦。部屋に戻るとアリサはベッドに寝ていた。「どーする?俺、もう家帰ろうと思うけど。」『えっ?』「アリサも帰るか?」『…。もうちょっと一緒におって?』「…。仕事あるから、後二時間くらいしかおれんで。」『わかった。』「なぁ。ラブホなんかおってもしゃーないから飯食いに行かん?」『いいけど…。』「シャワー浴びといでや。」
    無言でシャワーに行くアリサ。

    2008-05-30 19:28:00
  • 213:

    テレビを見たりしていると、アリサが出てきた。「行こか?」『うん。』「頭洗わへんかったん?」『普通洗わへんと思う。』「ふーん?」意味はわからなかったが、部屋を出る事に。アリサが財布を出す。「ええよ。店で金使ってるから外では出すわ。」『いい。』自動精算機にお金をいれるアリサ。「変な奴。」『…。』タクシーに乗り降りる時もアリサが財布を出す。「さっき払ったから次は…」『いいよ。私出す。』それは食事が終わった後にも続いた。
    「なぁ?アリサ、なんでそんなに何でもかんでもお前が金払うねん?」『ん?前の彼氏がそうやったから。』「ホスト?」『いや。何もしてない人。』「…へぇ。(ヒモか?でもアリサ、美容師やしな…)」『お金使ったら嬉しいんやろ?』「ん?」『蟲言ってたやん。お店でお金使ったら嬉しいって。』「…。」『前の彼氏も私が服買ってあげたり、ご飯ご馳走したり、お金渡したりしたらめっちゃ喜びよってん。男の人ってお金使ったら嬉しいんじゃないん?』

    2008-05-30 19:42:00
  • 214:

    僕はその言葉を聞いて凍り付いた。『お金なくなったら、いつも私ふられるから…。』「…そっか。」ようやく出せた言葉はそれだけだった。『蟲?またお店行っていい?私、お金いっぱい使うから!』満面の笑みで立ち去ろうとする僕にアリサが叫ぶ。僕は無意識にアリサのもとに駆け寄りアリサを抱き締めた。『嬉しい?』そう聞くアリサがとても哀れで涙が頬を伝った。『どーしたん?蟲。泣かんといて。蟲。』それ以来僕は、売り上げを上げるため金を使ってくれたら嬉しい何てくだらない営業トークはしなくなった。

    2008-05-30 20:03:00
  • 215:

    それからアリサを店に呼ぶ事はなくなった。アリサの歪んだ恋愛感情を少しでも治せたら何てセンチな気分になったからだ。また、それまで自分がやってきた強引な色恋営業で何人かはアリサのようになってしまった子もいないとは言い切れなかったせいもある。
    ある休みの日僕はアリサとデートする事にした。 
    財布にいつもよりたくさんお金を入れ、待ち合わせ場所に早めに向かった。

    2008-06-01 14:23:00
  • 216:

    ゆい

    更新楽しみにしてます(・ω・)/

    2008-06-06 15:55:00
  • 217:

    待ち合わせの噴水の広場に到着。どかりと腰をおろし、後ろポケットから携帯灰皿を取出し、煙草に火をつける。「ふいーっ。ちょい早かったか…。」しばらく人間観察なんかをしていたら、不意に肩を叩かれる。『蟲。おはよー。』「おっす。ほな行こか!」『何処行くん?』「水族館に決まってるやん。」『え?何で?』「ええから行くぞ!」アリサの手を取り、タクシーに乗り込む。「運ちゃん水族館まで行って。」運ちゃんは軽く頷いた。『何で水族館なん?』「嫌いけ?」『いや…。でもちっさい頃くらいしか行った覚えない。』「あっちゃー。そらあかんわ。」『は?何がよっ!』「水族館はめっちゃええで。俺なんか一人で行ったりするしな。」『マジで?危なっ。』「…。アホ。水族館の素晴らしさを今から思いしらせてやるわっ!」『ほんま蟲って子供みたいやな。』

    2008-06-06 19:25:00
  • 218:

    そんな話をしているうちに水族館に到着。「さっ!行くぞ!」『ちょっと待ってよ!』アリサを後ろから押しながら入場ゲートに。『なんぼ?』「アホ。何でアリサが払うねん。」『だって…。』「大体デートに誘ったのは俺やぞ?」『…。』大人券を二枚購入。 
    ひんやりとした薄暗い館内の正面には巨大な水槽。『うわぁ…。』「なっ?すげぇやろ?」自慢気にニヤリと笑う。しばらく眺めた後、順路に従い歩く。『広いよなぁ。』「気が済むまで見てたら、1日で終わらんよな。」『それはない。』 
    【…。夢がない奴め…】

    2008-06-06 19:37:00
  • 219:

    『深海魚コーナー?』「あぁ。海の奥底にいる奴等だ。」『へぇ。なんかキモいな…。』「まぁ。でも普通に生きてたら、出会う事ない奴等やで?水族館でしか会われへんねん。」『いい事言うやん。』「あ!せや長老に挨拶せな。」『長老?』深海魚コーナーを後にし、次の水槽へ。「おっ!いたいた。長老!俺!俺!」水槽をコンコンとノックする。『どれよ?長老って?』「来た来た♪」水槽の上の方からゆっくりと長老がこちらに泳いで来た。『長老って亀?』「亀とは失礼な海亀だっ。」『一緒やん。』「…。貴様どうやら、誕生日プレゼントには生き物図鑑が必要らしいな。」『笑。あほちゃう。』「長老。ちょっと回って来る。また後でな!」水槽にくちばしがコツンと当たる音がした。『言葉わかるんかな?』「さぁ。俺ぐらい頻繁に来てたら、覚えたりはしてるかもよ。」『そんなに来るん?』「月2回は来るな。」『年間パス買ったら?』
    【パス買ったら毎日来てまうわっ!ハゲッ!】

    2008-06-06 19:53:00
  • 220:

    館内アナウンスが流れる。「うわっ!しまった!アリサ!走るぞ!」『えっ?何よ?』頭から?のアリサを急かし猛ダッシュ。「よっしゃ!前の席空いてる!」人混みをかき分け、水かぶり席に着席。ワクワクしながら、おねいさんの登場を待つ。『は…走ったの久しぶり。』「シッ。始まる。」コミカルな音楽とともにイルカマスターねーちゃん登場。簡単な挨拶、イルカもキイキイ鳴いて挨拶。流れるようにイルカジャンプ。 
    『凄いなぁ!』「うむうむ。」しばらくショーは続き、ねーちゃんがイルカにキスして欲しい人を観客から探し出す。すかさずアリサに「アリサっ脇の袖ほつれてる。」と耳打ち。『何処?』と左脇を上げた瞬間、ねーちゃんにおもいっきり手を振り、こちらに気付かせる。したらばねーちゃん、〔はい!ではそこのお姉さん。〕と指名。「ナイス。笑」『えっ?私?ちが…』抵抗もむなしく、ステージに呼ばれるアリサ。
    【俺はなかなか当てないくせに…】

    2008-06-06 20:09:00
  • 221:

    ステージから明らかにガンを飛ばすアリサ。ニヤニヤしながら見てたら、握手をして水中でくるりと回らす。「やるもんだなぁ。」ガンを飛ばしてたアリサも自然と笑顔に。最後は頬にキスをしてもらいこちらに戻って来た。『もぅ。めっちゃ恥ずい。』「ええ体験できたやん。」『…うん。』アリサがはにかむ。「イルカ臭っ。笑」『マジで?イルカ臭いとか…』2人で大笑い。
    「なぁ?アリサ。ねーちゃんからもらった、イルカコインくれよ。」『ん?これ?』「うん。集めてるんだ。」『いや。』「何でやねん。」『私がショーに参加してもらったし…』「えっ?」『何でもない。とにかくあかんもんはあかん。』「ケチ。」
    【後、2枚でイルカの模型がもらえるのにっ!ギリギリ…】

    2008-06-06 20:20:00
  • 222:

    ぐるりと水族館を1周し終え、ベンチで休憩。『水族館っていいな。』「ほらな。水族館ってちびっこの時しか行ってない子多いねん。せやけど大人なってから来ても十分楽しいやろ?」『うん!あーお腹すいた。』「飯食うか?」『うんっ!』水族館内のレストランで飯を食べる事に。『何かさ、テレビとかでパンダのご飯食べれるとかあるやん?』「あるある。」『水族館はないんかなぁ?』「…お前は生魚や藻を食べるのかと…」『笑。そっか。』「注文決まった?」『んー。じゃあミックスフライ定食。』「重た。俺はハムサンドでいいや。」しばらく談笑しながらご飯を食べた。

    2008-06-06 20:27:00
  • 223:

    「さ、じゃ自由行動するか。」『へっ?自由行動て何?』「何かもっと見たい海の生きものおるやろ?」『笑。別に無いし。』「…。俺は長老のもとへ。」『あ!ちょう待ってよ!』すたこら長老の水槽へ。「お待たせ。」水槽を軽くコンコンと2回ノック。アリサは呆れて、水槽前に腰を下ろしている。のっそりとこちらに来る長老。水槽ごしの長老に小声で近況を報告。何度も水槽の前を行ったり来たりする長老。ひとしきり長老との水槽ごしの対話を楽しんだ後、「じゃ。また来るよ。」と一声かけてアリサのもとへ。
    『蟲ほんまに水族館好きやねんな…。』「おう。」『何でなん?』「さぁね…。」
    からかったように質問するアリサに僕は心の中でこう言った。
    【ニンゲンナンテメンドウダカラ…。】

    2008-06-11 19:55:00
  • 224:

    水族館を後にし、アリサと夕暮れの海岸沿いを歩く。 
    『蟲。今日はありがとう。』「全然いいよ。」『私、男の人とデートしてお金出さなかった事何かこれが初めて…。』「ははっ。そりゃないな。」『私…私な…例えば、いいなぁって思う人がいたら、何回か逢ううちにデートとかなるやん?そしたらさ、やっぱりご飯とか全部出してまうねん。』「へぇ。」『最初は相手もさ、気を使ってくれるねんけど、付き合いだしたら当たり前なって…それで…。』「出さないと機嫌悪くなったりするやろ?それから金を要求しだす。」『うん…。それでも…やっぱり好きやから出してまうねん。彼氏の機嫌がよくなるんならお金出すって思う…。』
    「そんなん恋愛じゃないやん。相手の顔色金で操作して、それで彼氏でいてくれたら満足?」『…。そんな恋愛しかできんから。』「そんな事繰り返しててもほんまの恋愛なんかできんのちゃうか?アリサならきっと金なんかチラつかさんでもええ男寄ってくる思うで。」『…。』「ま、俺からはそれくらいかな。」
    タクシーを停めアリサを乗り込ませる。「俺寄るとこあるから。」そう言ってアリサに一万円札を握らせた。『えっ?いいよ!』運転手に出せと合図をアゴで送る。 アリサに渡した一万円札には一言メッセージを書いておいた。
    【こんなんされて嬉しいか?】

    2008-06-11 20:14:00
  • 225:

    海岸沿いをしばらく歩くと携帯が鳴る。アリサからメールだった。件名…無題
    本文…お金もらうってあんまり気分のいいもんちゃうな。こんなんをされて喜ぶのが今までの私の彼氏やったんか…苦笑。蟲。ありがとう。
    携帯を閉じて独り静かに微笑み、自分に問う。人に偉そうに説教をたれれるほど自分は充実した恋愛をしているのか?そもそも本当の恋愛って?答えは出ないけれど、人にはそれぞれ愛の形ってものがあると思う。ひょっとしたら、アリサの元彼等の愛の形はお金だったのかもしれない…。
    ただ…僕は…擬似恋愛を生業としていた僕は…そんな愛の形を認めたくなかったんだ…。

    2008-06-12 00:39:00
  • 226:

    その後アリサは仕事で東京に行った。最後の日アリサの旅行カバンを押しながら、新幹線のホームへ。アリサが新幹線に乗り込みドアの前に立つ。『…淋しいな。』「せやな。せやけどええ経験なるんちゃうか?頑張って立派な美容師になれよっ!」『うん…。なぁ蟲?私…』けたたましい警笛が鳴るホーム。「はぁ?聞こえん。」『蟲!あんたが大好きやったっ!』ドアが閉まる直前とっさに僕は叫んだ。「俺もじゃ!ボケっ!」ドアの向こうでアリサが涙を流しながら手を振ってた。徐々に見えなくなる新幹線を僕はいつまでもいつまでも眺めていた。
    【回想終】

    2008-06-12 01:03:00
  • 227:

    ふと我に返り、マリを追い掛けた。「おいっ。」『うわっ!びっくりした。何よ?やっぱりお金いるん?』「あほ。ちゃうわ。」『なら、何よ?』「ネイル見てる。」『は?何で?』「何となく。」『意味わからん。』首をかしげるマリに強引についてく。
    ひんやりした店内に一緒に入場。《いらっしゃいま…》『おはょー。久しぶりっ。』綺麗なおねいちゃんと親しげに話すマリ。《あれ…。》『あ。あれが蟲。何かついて来てもてん。ま、おとなしいから気にせんといて?本でも渡しときゃいいから。』《笑。そう。》 
    【遺憾の意を表明。】

    2008-06-20 03:17:00
  • 228:

    ぺちゃくちゃお喋りが弾む未来のおばちゃん達…。僕はまったく暇だったので、マリの隣に移動してみた。『何よ?』「暇だから見とく。」『あんたでかいから邪魔やねん。』「ム…。」ふてくされてもとの席に戻ろうとすると、《こっち来たら?》と綺麗なおねいちゃん。「いいの?」《うん。こっちから入れるから。》『もぅ。アスカ!』《いいやん。笑》喜びいさんで、カウンターの中へ。「へぇ。何かキラキラのがたくさんあるんだな。」ニコニコしながらあちこちを観察。『さわったらあかんで!』「ちっ!うるせー。」《仲ええねんな。》『そんな事ないわ。まだ私はオープンやけど蟲はあんまりかな。』「…。」《そうなん?》『蟲はほんまの自分見せへんから。』《ふーん。》「…。(へぇ。)」 
    こんな短期間にそれを見抜くマリに少し感心した。

    2008-06-20 03:26:00
  • 229:

    《蟲君。またマリの所しんどくなったら家来てな?笑。》「えっ?はぁ。まあ。」『アスカぁー。あんたほんっまっに男好きやなぁ。』《笑。今彼氏おらんから飢えてるねん。笑。》『蟲はそんなんしてくれへんで?』《マジ?そーなんや?マリもしてへんの?》『うん。まったく。ご飯作って、掃除してみたいな?ほんま家政婦さんみたい。』《へぇー。男と女がひとつ屋根の下で何もないんや?そんなん何かショックちゃう?自分に魅力無いみたいやん?》『…!そんな風に考えた事なかったわ。蟲っ!そうなん?』《そんなん聞きなや。笑。蟲君困るやん。》
    まったくくだらない話題でよくそんなに盛り上がるなとあきれる。

    2008-06-20 03:38:00
  • 230:

    ネイルに使うキラキラを指でつついたり、壁に貼ろうとしてみたりしてみる。《蟲君可愛いなぁ。》『子供みたいやろ?』「…。」マリの指を見るとなかなか邪魔そうな花やら星やらがついている。「すげーな。」『やろ?アスカのしてくれるネイルが一番やわ。』《そんなん言うても安くならんで?笑。》『なーんや。笑』「ちなみにこれでいくら?」《んー。2万くらいかな。》「2万っ!?高っ。」『そうか?普通やろ。』「2万かぁ…。2万ねぇ。一本2千円する指…。」《笑。変な子。》あんなつけてても邪魔にしかならない物によく2万も払うなと感心してマリを見つめる。ほんまに人の価値観なんてそれぞれだなぁなんて考えていたら、アスカが《蟲君。ええジーパンはいとるなぁ。》「おっ!?わかる?」《それ高いやろ?》「うん。」ニヤニヤしながら答える。『うそ?そんなダサいのが?』
    【…人の価値観はそれぞれな訳で…】

    2008-06-20 19:34:00
  • 231:

    『高い言われたらそう見えるから不思議やな。あ。私ちょっとトイレ行くわ。』《はいはい。》マリがトイレに行った時、アスカが僕に走り書きで書いた連絡先を渡して来た。《マリには内緒な?絶対連絡して?》勢いに負けて無言で首を縦にふる。《約束な。》そう言うと、アスカはウィンクした。それと入れ違いにマリが戻って来る。《もう後5分くらいで終わりやから。》『うん。』2人の会話がまた弾みだす。
    【何故マリには内緒なんだろう?】

    2008-06-20 19:46:00
  • 232:

    しばらく二人のくだらない話に華が咲いた後、ようやく完成したようで、『蟲。行こ。』とマリが声をかけて来た。「ふむ。」会計をするマリ。店を出る時、アスカがちょいちょいと僕をつついてウィンクした。「…。」《ありがとう。》『またね。』マリとしばらく歩く。 『蟲?』「あん?」『アスカに番号教えた?』「いや?もろたけど。」思わず口がすべる。『やっぱり。かけたらあかんで。』「なんで?」『あいつと関わるとロクな事ない。』「へぇ。仲いいんじゃねーのかよ。」『プライベート挟めへんかったらな…。』「ふーん。ま、マリがそう言うならそうするわ。」番号の書いた紙をポッケから取出し破りすてる。2人に何があったのかは僕にはわからなかったけれど。
    その時、マリは小さな声で『ありがとう…。』と言った。
    「え?」『何もない。』「そっか。」
    雲ひとつ無い空の下僕はマリの荷物を肩に担ぎ直し、「次何処行く?」とマリに聞いた。

    2008-06-23 04:40:00
  • 233:

    マリの後をてくてく付いて行くと不意にマリが、『アイス食べる?』と聞いてきた。「どっちでもいい」と言うも思わず顔がにやける。『笑。食べよか。』アイス屋に立ち寄る事に。荷物を席に置き、カウンターへ。色々な種類のアイスに目を輝かせる。『どれ?』「ラムレーズンがいい。」『ふーん。ほな私はバニラ。』席まで移動する。『しかし歩いたなー。』「正気?まだ全然やんけ。」『ま、あんたは毎日買い出しとか歩いてるから慣れてるんやろな。』「ぬ…。」『足痛ぁ。』「貧弱な。」『なぁ?アスカ可愛いやろ?』「ん?あぁ。」『私とどっちが可愛い?』「ん?マリ。」と即答。『そっか。』マリが足をゆらゆら揺らす。機嫌のいい時の仕草だ。
    『アイスもう一個食べる?』「いやええわ。笑。」
    【わかりやすい奴め…】

    2008-06-23 04:55:00
  • 234:

    『昔さ、あいつともっと仲良かったんやけどな…。』「ふーん。」『あいつも風俗やってて、たまに飲みに行ったりしよってん。』「ほぅ。」『んでさ、あるBarのバーテン2人で好きになってん。』「…んで?」『最初は楽しくて、冗談半分に競ったりしとった。でもだんだん2人ともマジになってきてな…。』「うん。」『最後は抜け駆けしあいになって…。結局私は負けてん。』「…。」『私はあの子より幸せになったるねん。』「そっか。」
    アイスを食べ終わり、外に出る。『何か疲れた…。帰ろっか?』「もうええん?」『うん。足痛いし。』「そんな高いヒール履くからやん。」『だって…。』

    2008-06-23 05:17:00
  • 235:

    僕はその場にしゃがみ込む。「乗れよ。」『えっ?あほちゃう?恥ずかしいからええわ。』「いいから。足もっと痛くなるぞ。」『…。』しばらく躊躇したマリだったが、ようやく僕におぶさった。「荷物は何個か持ってな。」『うん。』マリを背中に街を歩く。『あんたやっぱ背高いな。てかめっちゃ見られてる。』「気にすんな。どーせもう二度と会う事ない通行人やんけ。」『笑。そんな考え方っていいな。』通行人の注目を集めながらタクシー乗り場へ。 
    「よし。到着や。」『お疲れぇ。さ、帰ろう。』「おう。」

    2008-06-23 05:27:00
  • 236:

    名無しさん

    まだですか?

    2008-07-08 22:06:00
  • 237:

    携帯を修理してました。更新遅れて申し訳ありません。

    2008-07-09 09:15:00
  • 238:

    巣に着くと、マリが、『あー。お酒飲みたい。』と言い出したので、「コンビニで買ってくる。」と巣から出ると何故かマリも後ろからついて来た。「足痛いんやから、おれよ。」『…いいねん。』「変な奴。」近くのコンビニを2人で目指す。マリが遅れ出したので振り返ると、やはり足が痛いのか、引きずるように歩いている。「やれやれ。マリ?乗るか?」『大丈夫。』マリにあわせゆっくり歩く。コンビニに到着。

    2008-07-09 09:22:00
  • 239:

    涼しい店内でマリが酒を物色してる間に、つまみを作る材料を冷蔵庫の中にある物を思い出し、少し購入。『蟲は?どれ飲む?』「…俺はいらん。」『え?何でよ?』「酒は一生分飲んだから(笑)。」『ちょっと付き合ってよ。』「…ん。」渋々、酒を物色。とソルティードッグをチョイス。『ソルティーか。』と何故かもう2本カゴに入れるマリ。カゴには自分の物とおぼしき酒が3本…。
    【あの…ちょっとやんな?】

    2008-07-09 09:28:00
  • 240:

    無事帰巣し、いざ酒盛り。つまみを何品か作る。キッチン横で、缶チューハイを片手に見守る。「やりづらいから座っときーな。」『器用やなー。あんた。』「…。」5品を作り運ぶ。皿を置くなり、手でマリがつまんで一言。『うま!』
    「箸で食べなさいよ。箸で!」『はいはい。蟲。彼女いらんの?』「何やねん急に?」『いや…。おらんのやろ?』「うん。もうええわ。面倒やし。」『ふぅん。』2人チビチビ酒を飲みながら、雑談。「マリは?彼氏。」『いらんいらん。愛人おるし、そんなん理解する彼氏おらんやろ?それに彼氏はお小遣いなんかくれんし。』そう言うとマリは淋しく微笑った。 
    【俺等は似た者同士…】

    2008-07-09 19:43:00
  • 241:

    「しかし酔うなぁ…。」『弱っ!笑。ほんまにホストやった?』「うるせ。」『笑。』つまみが少なくなったのでまた作る。チーズを韓国海苔で巻いたもの。カマボコにキュウリ。ありきたりな物を作ってると、突如、左手に痛みが「ん?」目をやると包丁でスッパリと切れていた。「はは。何年ぶりかに切ったなぁ。」何て呑気な事を思っていたら、酒のせいか、血がどんどん溢れて止まらない。「マズいな。」キッチンペーパーで止血するも、すぐに深紅に染まる。『どうしたん!』つまみを催促に来たマリに見つかる。「大したことねぇ。」『めっちゃ血が出てるやん。救急車!』「あほ!こんなんで呼んだら殺されるわ!」『でも!』「瞬間接着剤ある?」『…ない。あ!スカルプつけるのは?』「それでいい。」『待ってて。』マリが部屋に駆けていった。鮮血で染まるキッチンペーパーを見ながら、「綺麗やな。」何て思うくらいだから結構、酔ってたんだと思う。半泣きでマリが瞬間接着剤もどきを手渡す。「サンキュ。イテテ。」『えっ?ちょっと何してんの?』「接着。これでよし。」『大丈夫なん?』「血は止まるやろ。」『…。あんた無敵やな。』爆笑するマリ。

    2008-07-09 19:57:00
  • 242:

    名無しさん

    この主、催促されると書くんやなぁ

    2008-07-11 01:39:00
  • 243:

    名無しさん

    >>242ほな読みなや。いらん事書くな暇人。主はぼちぼち更新言うとるやん。

    2008-07-12 22:40:00
  • 244:

    名無しさん

    >>242
    ほんま暇な奴やな。わざわざ関西板から飛んで来て主批判して何が楽しいん?あんたみたいなんがおるから、関西板のいい小説とかも作者が嫌になって、途中でおわったりするねん。しょーもない事書き込むなよ。ボケ。

    2008-07-13 18:50:00
  • 245:

    名無しさん

    批判も中傷も言い合いもやめましょう?あんまり書くと蟲サンが書きづらくなっちゃいそうで…
    242サンも意見があるなら感想スレがあるのでそちらに書き込みしてみてはいかがですか??
    一読者が生意気言ってすみません。
    私ももうこちらへの書き込みは遠慮させて頂きますね。お邪魔しました。
    最後に、蟲サン、頑張ってくださいね。

    2008-07-14 01:18:00
  • 246:

    何とか流血もおさまり、また飲み直す。『蟲。ほんま大丈夫?』「カチンカチンに固まってるから大丈夫。しかし油断したわ。手切ったのなんか久々や。」笑顔で言う僕にマリは『変な子。』と言って微笑んだ。しばらくすると、缶のお酒もなくなり、宴もたけなわ。洗い物をしようと水場に行くとマリにどかされる。『ケガしとんやから、じっとしときーや。』「…はい。」長年こんな生活をしてきたからか、変な物で、飼い主に洗い物をさせてるのが落ち着かない…。そわそわするので、テーブルを拭いたり、テレビの下に落ちた物を拾おうとしてたら、マリが舌打ちをした。
    【はいはい。じっとする】

    2008-07-14 01:54:00
  • 247:

    洗い物を終え部屋に来たマリが不意に『蟲。あんたとおったら楽しいわ。』と言った。「そうか。」『でもな…。』「…うん?」『いつかおらんくなるって考えたら淋しい…。』「…。」『なぁ蟲。この仕事始めて、今まで一番長く続いたのどれくらい?』「…忘れちまった。」『そう…。』マリはいつもの淋しい笑顔で言った。『そろそろ寝る。今日はありがとう。おやすみ。』そう言ってマリは自分の部屋に帰って行った。僕も自分の部屋に帰り、布団に転び大の字になる。

    2008-07-21 02:52:00
  • 248:

    今まで寄生して来た、色々な飼い主を思い出してみる。「みんな元気かな…。」仕事柄、一方的に出て行くので今となっては、誰一人連絡すら取れない。そんな自分を淋しく思った。「俺には何も無い…。」もう口癖になってしまったいつもの言葉が独りきりの部屋に響く。「…仕方ねぇな。」深いため息を吐き出す。
    《コンコン…》
    「ん?」『まだ起きとる?』「あぁ。」『入ってええ?』「おう。どした?」『…寝られへん。』「笑。子供か。」『お邪魔します。』マリが部屋を見回しながら入室。

    2008-07-21 03:09:00
  • 249:

    『何もない部屋やな。』「そうか?こんなもんやろ。」マリが部屋をじろじろ見回す。『エロ本とかないん?』「ない。」『ふーん。しょうもな。』「…。」『蟲って性欲ないん?』「…あんまない。」『へぇ…。』「何やねん。変な空気作んなよ。」『…。』しばらく続く気まずい空気。
    「さて俺は寝るけど…?」『…今日一緒に寝る?』「…。寝たいんやろ?」『…うん。』「かまへんよ。せやけど狭くないか?」『大丈夫!』マリがニコニコしながら、布団に入る。 
    【まったくどいつもこいつも…】

    2008-07-22 18:12:00
  • 250:

    マリに背を向け寝ようとすると不意に後ろから、下半身をつかまれる…。『わっ!結構デカいなっ!』「コラコラ!盛るなよ。」呆れてマリの方を向く。
    『私魅力ない?』「ん?アスカに言われた事気にしとるんか?」『…ちがうけど。』「可愛いと思うで。」『なぁ蟲…。抱き締めて。』「…。それ以上はあかんで。」『うん…。』マリをそっと抱き寄せた。着痩せするのか、思ったより抱き心地がいい。『ありがとう。』「もう寝るで。」『うん。』ピッタリと僕にくっつき、マリはすぐに寝息をたて始めた。 
    【あの…胸が当たるんですけど…悶々…】

    2008-07-22 18:23:00
  • 251:

    次の日目を覚ますとマリが僕に馬乗りになっていた。「重たい。重たい。」『おはよう。』「ご飯作るわ。」『手のケガあるから今日はいいで。私する。』「えっ?できるん?」『…多分。』「…。」一抹の不安があったが、お言葉に甘えてみる。数分後―。
    『お待たせ。』マリが威勢よく持って来たのはそうめんらしきもの。
    「そうめんか。」これなら失敗もないだろうと内心安心してると。マリが『は?パスタやけど?』と一言。『えっとこれにつけて食べてな。』と手渡されたのはめんつゆ?か?取り敢えず食べてみようとトマトやらキュウリやらが入ったパスタを箸でつかむ。「いただき。」『どーぞー。』「ブッ!ゲホゲホ!」『大丈夫?慌てて食べるからやん!』「…。(めんつゆじゃない?てか酸っぱ!むせる。)」マリは頷き自画自賛しながら、食べている。「な…なかなか斬新なパスタやな…。」『やろ?』とニッコリ【いや…ほめてないから】

    2008-07-23 09:12:00
  • 252:

    むせながら完食。味はなれてくると結構美味だった。「ごちそうさま。」『うん。美味しかった?』「おう。もうちょいと酢を押さえめにしたら完璧かと。」ニコニコしながらマリは皿を洗いに行った。「マリ。今日仕事は?」『ちょっと間休み。』「へぇ。」『愛人から振り込みあったから。』「ふーん。」『蟲今日何するん?』「…。特に何も。」『そう言えば、蟲って私が仕事の時何しとん?』「ん?基本的にゴロゴロ。」『オッサンやな。』 
    【オッサンですが何か?】

    2008-07-23 09:24:00
  • 253:

    『じゃ、今日は蟲を観察やなっ。』マリがニヤリと笑う。「…(冗談じゃねぇ。)」ゴロゴロする僕をさも楽しそうに見つめるマリ。「…何よ?」『ん?見とるだけ。』「…。」『なぁ蟲、毎日こんなん?』「うん…。」『じゃあ私帰って来たら嬉しい?』「…普通。」『何よそれ。』マリが僕の上に乗っかる。「暑いねんから、くっつくな。」『エアコンかけたらいいやん。』「電気代かかるから嫌。」『あんたケチやなぁ。てかあんた電気代払う事ないやん。』「…だからかけないんだよ。」『ふーん。変なの。』マリが僕から降りる。『しかし暑い。シャワー浴びよ。』 
    【好機っ!】

    2008-08-08 18:28:00
  • 254:

    マリがシャワーに入るのを確認し、こっそり玄関から脱出。「まったく…。」あてなんかなかったけど、マリが面倒くさいので、取り敢えず歩く。コンビニに入り雑誌を立ち読み。携帯が鳴る。「はい。」『蟲どこ?』「コンビニ。」『はぁ?黙って行くなよ。』「…。」『帰りにアイス買って来て。』「…了解。」
    「まったく五月蝿ぇやつだ。」ため息をつき終話。すぐ帰るとまた面倒なので、駅前に向かい歩く。「おっ?あれ…」
    白い姿に赤いリード…

    2008-08-08 18:52:00
  • 255:

    「ラウか?」《ハッハッハッ!》僕の声に反応し、振り返るなり、飼い主の手を離れ走ってくる白き犬コロ様。「やっぱラウか!元気かよっ!」《ベロベロ!ハッハッ!》「おーそうか。そうか。」久しぶりの再開にめちゃくちゃ喜ぶ犬コロ。『こんにちは。』と飼い主が頭を下げる。「どーも。ブラブラしてたら、ラウみたいなのがいたんで声かけたら…」『笑。それで急に。』《ハッハッハッ。》「あ…まだお名前聞いてなかったような…。」『私ですか?ミノリと言います。』「そうですか。ラウ元気そうで。」『相変わらずです。笑。でもこんなに喜ぶの初めてかも…。』ラウが前足で立ち抱っこをねだる。 
    【可愛いなお前は】

    2008-08-08 19:00:00
  • 256:

    ラウを持ち上げる。ニヤリと笑う犬コロ。「覚えてるもんですね。」『えぇ。いつも散歩の時間にこの辺りだけ、ゆっくり歩いたり、キョロキョロしたりするんです。笑』「へぇ。」僕の腕の中で満足そうに笑う犬コロ。…とミノリさんが『あの…買い物すませて来ていいですか?』「どうぞどうぞ。ラウ散歩させますわ。」『すみません。』そう言うと足早にスーパーの方へ行った。
    「追いかけへんの?」《ハッハッハッ。》
    【あれ君の飼い主よ?】

    2008-08-19 18:34:00
  • 257:

    「さ…ラウ何か食うか?」《ジロッ…。ハッハッ。》「…。コンビニ行くか。」ラウを腕からおろし、コンビニに向かう。後ろからちゃんとついて来るラウに悪戯をしたくなったので実行少し早歩き→ラウも早足に。
    突然電柱に隠れる→ラウ驚いたように辺りを見回し地面の匂いをしきりに嗅ぐ。「バッ!」突然電柱から飛び出す。→ラウびくっとなるが、尻尾を振り、走ってきて手を甘噛み。 
    【楽しいなぁ。】

    2008-08-19 18:40:00
  • 258:

    バカな事をしてたら、コンビニに到着。ペット禁止のマークもないので、自然な感じでラウを抱えて入店。店員にバッチリ見られたが、特にお咎め無し。「なんや犬OKか。」《ハッハッハッ。》ラウに色々話しかけながら、食べ物を選ぶ二十代後半の危ないオッサン。結局ちくわと、カフェオレ、ミネラルウォーターをかごに投入。レジに並ぶと前に並んでる人達にさわられるラウ。あからさまに嫌がる。
    【愛想をふりまきなさい】

    2008-08-19 18:47:00
  • 259:

    やっと僕の番になり、からあげくんの辛くないのをオーダー。支払いをすませ、コンビニの前に座る。「よっこらしょ。ラウ食え。」からあげくんをちぎり与える。《クンクン。パク》「美味しい?ちくわも食えよ。」一人と一匹で宴会が始まる。町行く人々誰もがラウを見て笑顔になった。
    「お前はいい犬だな。みんなお前見て笑顔になる。幸せを呼ぶ犬とか適当に看板書いて商売でも始めるか…。」《ハッハッハッ。》おやつを食べおわり、ボケーとしてると、ミノリさんが帰って来た。 
    尻尾を振る犬コロ。

    2008-08-19 18:53:00
  • 260:

    『ありがとうございました。』「あ。どもども。からあげくんとか食べさしちゃいましたけど…。」『へぇ。私以外から貰った物あまり食べないのに…』「そうなんだ。」《ハッハッハッ。》「じゃ…また。」『はい…。』手をあげて立ち去ろうとすると《ワンワン!》『あ!コラ!』ミノリさんをぐいくい引っ張る犬コロ様。「ラウ。またな。」頭を撫でる。《ハッハッハッ。》悲しそうな顔のラウ。僕が行こうとすると付いてくる。ミノリさんが帰ろうとするとその場に足を踏ん張り動かない。2人ともほとほと困り果てる。 

    2008-08-19 19:48:00
  • 261:

    「家まで送りますわ。」『えっ?』「家まで行って、扉閉めたらラウもあきらめるでしょ?」『笑。このままじゃラチあかないですもんね。』「苦笑。」《ハッハッハッ。》と言う訳でミノリさんの家まで歩く事に意気揚々と歩く犬コロ様。「しかし可愛いですね。」『甘やかして育てたから、一度言いだすと聞かない頑固な所がありまして…』
    【耳が痛いですな…】

    2008-08-19 19:53:00
  • 262:

    『蟲さんはお仕事なにされてるんですか?』「ん…ええと…何て言いますか…。ま、プータローみたいなもんですよ。苦笑。」『…ごめんなさい…。』「あ…いやいや。」気まずい空気の中ミノリさんの巣に到着。エレベーターで三階まで上がる。『ありがとうございました。』「いえいえ。じゃ。」ラウが中に入ったのを確認。すかさず扉を閉める。中からラウの鳴き声が聞こえるも退散。 
    【またな…。】

    2008-08-19 19:59:00
  • 263:

    ゆか

    更新ありがとう?

    2008-08-20 00:58:00
  • 264:

    ミノリさんの巣を後にし、急いでコンビニでアイスを購入。駆け足でマリの巣へ。「ただいまっ!悪い悪い。」『遅いねん!何してたん?』「かくかくシカジカ…」『ふぅん…。』「…。」『…でラウのご主人は可愛いん?』「ん?普通。」『へぇ…。』アイスを僕の手からひったくり、マリがどかっとその場に座る。「…。」『何よ?あんたも早くアイス食べたらっ?』「おぅ…。」 
    【何怒ってるんだよ…】

    2008-08-30 13:50:00
  • 265:

    黙々とアイスを食べる。ここは僕の部屋なのに、不機嫌なマリが居座って、気まずい事この上なし…。 
    空気が嫌なので、「シャワーを浴びる」と言い残し退室。「まったく何だってんだ。」ぶつぶつ言いながらシャワーを浴びる。マリが部屋からいなくなってるのを祈りながら。 
    シャワーを浴びて、部屋に戻るとまだ居座るマリ嬢…横目でチラリと確認。パンツをはいて、座る。…とメール着信。「…(ウヒョ!ナイス。)」 
    【あ…ラウ主…】

    2008-08-30 13:55:00
  • 266:

    「お?」件名…先ほどはありがとう。本文…あれからラウずーっと玄関で顎をついて見張ってるんです。(笑)本当に蟲さんになついてますね。
    メールを読み思わずニヤリとする。すかさずマリが、『誰?』と聞いてきた。「…(五月蝿ぇなぁ。)客やわ。」『客?あんたまさか出て行くつもり?』マリが泣きそうな顔で寄ってくる。それを素早くかわしながら「いやいや。」とやんわり否定。すると何故かマリが泣き出す。
    【情緒不安定なのか?】

    2008-08-30 14:01:00
  • 267:

    「どうしてん?」『だって蟲出て行こうとしてる。』「何でやねん。出ていかんよ。まだ。」『まだ…』と言っていっそう泣き出すマリ嬢。面倒ったらない。
    「ごめん。ごめん。出て行かへんよ。」と言いながら頭をよしよし。よしよしの回数が増える度、鳴き声がだんだんひくひくに変わり。沈黙。「え…あの…寝やがりました…、まったく何なんだこいつは。」と呆れる。ラウ主にメールを返信。本文…まさに蓼喰う虫も好き好きですな。…と
    【虫?蟲?】

    2008-08-30 14:06:00
  • 268:

    寝てしまったマリが膝にいて身動き不能。仕方ないのでぼんやりと考え事…。

    2008-09-02 18:44:00
  • 269:

    【回想】
    僕がホストだった頃、同期の奴等はどんどん辞めてしまい、とうとう僕を残すのみだった。ある時先輩が僕に言った。『蟲やっけ?とうとうお前だけなってもたな…。同期の奴等が辞めたしわ寄せで雑用多いやろ?』僕は苦笑いしながら首を縦にふった。『なぁ蟲よ?お前は何で続けられるんや?』僕は「他にやる事がないからです。」と答えた。先輩はびっくりした顔をした後、大笑いした。

    2008-09-09 19:29:00
  • 270:

    『お前変な奴やなぁ?もっと新人らしくNo.1なるとかさ…ない訳?』「…。」『ま…いいか。頑張れよ。』そう言うと先輩は手をヒラヒラさせて向こうへ行った。

    2008-09-09 19:36:00
  • 271:

    「あの人名前なんやっけ?後でパネルで確認しておこう。」洗い物を終えて、トイレに行くついでにパネルを見る。「お?さっきの人No.1か。へぇ。」ぶつぶつ言いながら用を足していると、背後からまたさっきの声がした。『おう!蟲。しょんべん終わったら俺の席ヘルプ頼むわ!』「え?は…はい!」突然の事であたふたする僕を見てニヤリとしながら彼は消えて行った。
    「ヘルプかぁ…まいったな…。」

    2008-09-09 19:44:00
  • 272:

    手を洗い、さっきの彼がいた席に足を運ぶ。「失礼します。蟲です。」『おっ!来た来た。』《これが蟲君?おっきいなぁ。あんたと違って。笑》『は?シャンパンでも飲みたい?』《笑》『蟲。こいつマイコって名前やから。』「はい。わかりました。」『ほな頼むわ。』「…(えっ?ピン?)」そう言うと彼は忙しそうに他の席に行ってしまった…。何を話していいかわからなかったが、マイコさんから話題を振ってくれ何とか彼が戻って来るまで持ちこたえた。《おかえり。蟲君結構面白い。》『やろ?蟲。また洗い物しといでや』「はい。ご馳走様でした。」はじめてのピンでのヘルプだったので緊張してガブガブ飲んだせいか、ふらつく足をおさえながら、洗い場へ非難した。

    2008-09-09 19:52:00
  • 273:

    洗い物が終わり、パネルをまた確認しに行く。「聖夜さんか…ベタやな。」と独り言。
    しばらくすると店内が暗くなりラストソングがかかった。みんな結構飲んだようで酔って寝ている人がたくさんいた。 
    お客が帰った後ひとりずつソファーに運ぶ。グラスも山ほどあったが、全て洗い終え、ようやく寝れると思ったらまたあの声『蟲。この後暇か?』「…はい。」暇なんかじゃないが先輩なので取り敢えず優先。
    『俺の家こいや?』「え?は…はい。」『安心せー。俺ホモちゃうから。』
    【ホッ…。】

    2008-09-09 19:59:00
  • 274:

    タクシーに乗り込み少しすると聖夜さんが『ここや。』と行ってタクシーを降りた。「…(ほうほうなかなかすげえマンションだ。)」僕もタクシーを降り、いざ聖夜邸へ。「お邪魔します。」『おう。適当に座っといて。』と聖夜氏は何やら電話。意外に綺麗に片付いた部屋をキョロキョロするも、目ぼしいものは一切なし。 
    【退屈な部屋だな・・】

    2008-09-15 18:18:00
  • 275:

    『ま、楽にしーや。』聖夜さんはそう言うとネクタイをとりジャケットをソファに掘り投げた。
    「はい。(楽にできるかっ!あー眠い。)」『タバコ吸いや?』「あ。じゃ。」人にすすめられて吸うタバコほどまずいものはない…。プカリと煙を吐き出す。ピンポーン。『おっ!来た来た。』「?」
    駆け足で聖夜さんが玄関へ。

    2008-09-20 00:19:00
  • 276:

    ドアを足で開けながら聖夜さんが部屋に戻って来た。『腹減ったやろ?喰え。』目をやると出前とおもわれる寿司が…。
    「…いただきます。(朝から寿司かよ。こいつ成金丸出しやな。これで金稼ぎたいか?とか色々聞かれるパターンかな…。)」
    と心の中で思いながら寿司を食べる。『うまいか?』「はい。(寿司なんか奢りで食って後で恩着せられたらいややなぁ…。)」『遠慮すんなよ。』「ありがとうございます。」
    【チョビチョビ食べよ】

    2008-09-20 00:24:00
  • 277:

    食もあまり進まずご馳走。『ほな寝るか。あ。シャワー浴びたいなら浴びや?んで部屋はそこ開けたら客間やから。お疲れ。』手をヒラヒラさせて聖夜さんが出て行った。「…?何だこりゃ?何故呼ばれたんや?」完全に肩透かしを食らった。これから長々と自慢や、サクセスストーリーを強制で聞かされると思ってたのに…。ひねくれた考えの自分が急に恥ずかしくなり、せめてもと、食べた後を片付けた。

    2008-09-20 00:36:00
  • 278:

    「しかし変な奴だな。」独り言をいいながら、客間とやらに向かう。「…って、広っ!」客間の広さに仰天。聖夜さんがいかに財力があるのかを思い知りながら就寝…。

    2008-09-20 00:44:00
  • 279:

    その日の夜『おっす。』「おはようございます。」何やら鏡を見ながら入念にセットする聖夜氏。
    その様子をボーッと眺める。同性ながら見惚れてしまうくらい格好良い。
    『蟲。お前セットとかは?』「頭洗ったら終わりス。」『あほ。もっとプロ意識もてよ。』
    【何だよ。プロ意識って】

    2008-09-27 16:40:00
  • 280:

    『蟲。お前家で飲んだら、8百円くらいの焼酎。何でお客は1万でも買うと思う?』「さぁ?金持ちなんじゃないスか?」『笑。あんな。家で飲めばそりゃ安い。けど淋しいやろ?女の子やったら特に。』「はい。」『んで俺等が接客する訳。蟲、同じ金はらうなら、かわいい子と不細工どちらがいい?』「そりゃかわいい子。」『せやろ?家で飲めば8百円。ホストなら1万。9千2百円の差や。それを払っても損したって思わないように埋める。それが俺等の仕事やろ?』「へぇ。」『俺は身なりで7千。接客で2千2百円埋めてるつもりや。』「男前スもんね。じゃ自分は接客で9千2百円埋めるっス。」聖夜氏が手を頭につけてため息をつく。『…ま。ええわ』

    2008-09-27 16:49:00
  • 281:

    聖夜氏がタクシーを呼び無事出勤。今日も長い1日が始まる。
    その日は何かと聖夜氏のヘルプにつかされ少し酔う。終わりがけに初めて飲むドンペリにウキウキするも、激マズで幻滅。もうちょい甘いかと思ってた…。
    聖夜氏がラスソンを歌う。「…下手やな…。」まさに天は二物を与えず。ほくそ笑みながら閉店。今日の閉店業務を終えたら、休日だ。急いで片付けてるとまた聖夜氏『蟲。今日はどうするんや?』「え?どうするとは?」『家来るなら鍵渡すけど?』「…(うわー面倒くせ)」と思うも昨日の寿司があるので「じゃ。寄らせて頂きます。」と返答。『そか。はいよ。』とブルガリのキーケースを投げる聖夜氏。『適当に過ごしといて。俺今日営業あるから。』「?」
    【じゃ何で呼んだんだよ】

    2008-09-27 16:57:00
  • 282:

    「…どうしよ。」
    聖夜氏の家に何故休日に1人で行かないといけないのか…途方にくれる。
    でも鍵を預かった手前…「あーもう!意味わからん。」店のドアを乱暴に開け、聖夜氏の家に向かう事に。「あ…聖夜氏の家何処やっけ?」タクシーで行ったのでわからない…「聖夜さんに聞くか…でも営業言うてたからなぁ…」
    …とタイミングよく聖夜氏からメールがきた。件名…無題。本文…家わからんかったらここに電話しろよ。お疲れ。

    2008-09-29 23:50:00
  • 283:

    「…。何だこの一方的なメール…。」と思うも、メール欄に書いてある番号をクリック。プルルル… 
    『もしもし?』「!あ…。もしもし…。」『どちら様?』「え?あ!あの…」とっさに聖夜氏の名前がでる。「聖夜さんにここに電…」まで言いかけると、途中でさえぎられ、『あ!聖夜さんね。毎度。今日は何処に行けば?』「…あの?」『場所どちら?』強い口調の電話のオヤジに圧倒される。「場所?」と店の住所を途中まで言おうとすると『店ね!』と言われて一方的に終話…。
    【話最後まで聞けよorz】

    2008-10-07 09:04:00
  • 284:

    しばらくその場で待つと、けたたましいクラクションの音。「うるさっ!」イラりとして振り返ると真っ黒な車が。
    窓が開きモロにその筋の方が顔を出し一言。『聖夜は?』「営業に…」思わず本当の事を言ってしまう。(客でなくてよかった。汗。)『は?ほな電話くれた奴は?』とは運転手。すかさず事情を説明すると、豪快に笑いながら『乗んな。』と一言。 
    【あんたカッコいいな。】

    2008-10-07 09:10:00
  • 285:

    言われるがまま後部座席に乗り込む。『聖夜さんに鍵預かるたぁ、さては兄さん相当好かれてやがんな?』と運転手が問う。「…さぁ。」とモゴモゴしてると『いや聖夜さんは極度の人嫌いでね…うんたらかんたら』と聖夜氏を語り出す。
    いや、運ちゃんあんたの素性のがよっぽど気になる訳で…。
    勇気を出して聞いてみる。『あっし?あっしは聖夜さんに雇われてんでさ。もとは個人タクシーだったんですがね…。商売があがったりだった頃、聖夜さんに出会いやして…うんぬんかんぬん。』
    【お前いいキャラだな】

    2008-10-07 09:19:00
  • 286:

    とか言ってる間に到着。「ああそういやこんな場所だったな…。」『じゃ、お気をつけて。』「あのお金。」『ガハハあっしは月々頂いてるんで。』とは運ちゃん。『では。』とまたけたたましいクラクションを鳴らし去って行った…。 
    「あいついいな。」とニヤリ。携帯に登録しようとするも、名前を聞くのを忘れたので勝手に名付け親に。
    【風来の運転手なんてのはどうでしょう?】

    2008-10-07 09:29:00
  • 287:

    ニヤニヤしながら携帯に登録しようとするも風来の運転手は長い。何かないかと考えながらロビーを歩いていると…
    ドン! 
    『キャ!』と吹っ飛ぶ女子「あっ!すんません。」と手を差し出す。『イタタ…』「大丈夫スか?」『もう歩かれへん。このゴミ変わりに捨ててきて!』「はい…」
    【よそ見なんてするもんじゃねぇ…】

    2008-10-25 09:14:00
  • 288:

    運転手の名前をつけるのも女子との衝突ですっかり忘れ携帯をポッケに収納。ゴミ捨て場にゴミを投下し、気を取り直してロビーへ。エレベーターに乗り込もうとすると『おい!ホストっ!』とは先の女子。 
    「…何?」『何じゃないわよ。部屋までおんぶして。』「…。(なんじゃコイツ。)」頭の弱い女子もいるもんだ。と素無視。何やらわめく女子を放置し、エレベーターに乗り込む。ようやく到着した部屋で大きな溜め息をついた。

    2008-10-31 09:04:00
  • 289:

    「しかし、ここに来ても一人やし、何もする事ないな…。」
    しばらく着替えも忘れボーッと過ごす。
    「部屋も綺麗し、聖夜氏の部屋には鍵がかかってる…。」本当にやる事がないので客間を物色。しかし何もみつからなかった…。退屈さに飽きて、店でやらなければならないシャンパンコールのDVDを見る。けたたましい音量に心臓が飛び出すも見事にキャッチ。身振り手振りを真似しながら、悪戦苦闘。
    【こんなんできるかっ!】

    2008-11-07 15:39:00
  • 290:

    「あー疲れた。」小1時間ほど踊ったりしたら、お腹がすいた。 
    冷蔵庫を聖夜氏の生活ぶりからして期待覗くと…中には大量(いやむしろ大漁…)のビールやドンペリ様…
    【いつ飲むねん…orz】

    2008-11-07 15:44:00
  • 291:

    気を取り直し、出前メニューに目をやると、目が飛び出すほどの価格…
    「あの寿司高かったのね…。」仕方なく客間にあったちょっとSizeが小さいジャージを着装。一時流行ったチビTのようになるも、気にせず外出する事に。 
    財布と鍵を持ち、玄関へ。「コンビニ近くにあったやろか?」エレベーターを降りるとまたもや先程の少女…。反射的にエレベーターの扉をClose。 
    【いつまでおんねん。】

    2008-11-07 15:51:00
  • 292:

    「チッ。」エレベーターでまた上に上がり、もう一台のエレベーターを凝視。階のランプが1…2…と順に上がるのを見届ける。「えっ?同じ階?」こりゃヤバいと慌てて先程乗ってたエレベーターのボタンを連打。しかし下の階へ。 「うわっ!最悪や!」部屋にダッシュする。
    「あ!痛っ!」足がもつれ転倒…
    《ピンポーン》とエレベーターの機械的な音。万事休す……。
    『お前何やってんの?(笑)』

    2008-11-07 15:57:00
  • 293:

    「せ…聖夜氏…!」『お疲れ。何やねんお前突っ込み所満載やな(笑)てか氏て何や?氏て。』
    「いやいや…汗。」『そんな格好で何処行くんや?』「いや…ちょっと小腹がすきまして…。」『出前取れよ!』「…高いス。」『アホ。月の後払いや。』「…そうなんスか…。」『しかしそのジャージはないな(笑)恥ずかしいから早よ入れ。』
    言われるがまま部屋へ。

    2008-11-07 16:02:00
  • 294:

    聖夜氏はスーツを脱ぎ捨てる。それを華麗にキャッチし、ハンガーへ。『器用な奴やな(笑)寿司でええんか?』「…もうちょい安いので。」『アホか。せっかくやからええもん喰え。』「…。」
    聖夜氏が電話する。『もしもし…寿司を…』 
    『しばらくしたら来るわ。おやすみ。』
    「は…はい。お疲れ様です。」聖夜氏は手をいつものようにプラプラさせ聖夜氏の部屋に帰って行った。

    2008-11-07 16:07:00
  • 295:

    彼は何故、僕にこんなによくしてくれるのだろう?まったくわからないまま、しばらく聖夜氏の部屋のドアを眺めていた。
    「…。はっ!聖夜氏が寝てたら出前が来た時のチャイムで起こしてしまうかも!」と思い立ち、玄関のドアを半開きで待つ…
    【今の僕にはこんな些細な事しか出来ない…】そう思うと自分が情けなくなった…

    2008-11-07 16:14:00
  • 296:

    無事寿司も到着し、完食。また暇な時間が到来…。仕方ないので、残した寿司のシャリを何粒か数えてみたり、鮪の繊維質な部分が何本あるか数えてみたりする…。
    『怪しっ!(笑)』不意に後から聖夜氏の声。
    『何してんねん。お前変子やな…。』
    【あの…貴方気配まったくないんですけど…】

    2008-11-07 16:18:00
  • 297:

    「寝てたんじゃねーんスか?」照れ笑いしながら問う。『いや、手帳まとめてた。』「手帳?」『誰といつ、何処に遊びに行ったとか、どんな話したかとか、次の約束とかな。』「豆なんすね…。」『馬鹿なだけや。書いてな忘れる。忘れたらただでさえ信用してもらえんのに、今までやった事が水の泡やから。』
    「営業行ってるんスから金使ってもらわないと損ですもんね?」
    聖夜氏はフッと小さく笑い、僕に言った。『蟲お前はやられたらやり返す。取られたら取り返す。…か?』「そりゃあそうです。」と即答。

    2008-11-07 16:24:00
  • 298:

    聖夜氏はまたフッと笑って『じゃあ蟲、俺はお金を使ってもらう為営業に行ってるって思うか?』
    「…?そうじゃないんスか?」『違うよ。』「え?」聖夜氏は立ち上がり蚊の鳴くような小さな小さな声でこう言った。
    『サミシイカラ…』

    2008-11-07 16:27:00
  • 299:

    「えっ…?」聖夜氏はソファーに座り直し『何でもない…』と言った。でも僕は確かに聞いた。【サミシイ】って言葉を…
     
    サミシイ…?客にサミシイからって会って何とかなる?え?それって客ちゃうん?彼女?彼女おってホストできる?いやいや営業言うてはったから…。え?あんた1人1人の客みんな好きなん?大事なん? 
    【蟲ハ、コンランシマシタ…】

    2008-11-07 16:34:00
  • 300:

    しばらくの沈黙の後…。僕は思い切って自分の意見を言ってみた。「でも客なんか使い捨てじゃないんスか?」聖夜氏は悲しい顔で『…かもな。』と言った。「じゃあ、営業では金使って、店でドーンと倍返しのが効率よくねぇスか?」『じゃ蟲、お前に聞く…。それでその子と2度と会えなくてもいいんだな?たかだか何万くらいで。』
    「?そんなもんじゃないんスか?むしろ1万使って、ドンペリ卸してもらって5万なら4万もうけで万々歳じゃねースか!この街には女の子なんか腐るほどいるんスから(笑)」 
    聖夜氏は一層淋しそうな顔でこう言った。

    2008-11-07 16:42:00
  • 301:

    『そうか…。ならそのまま突っ走って、この仕事辞める時、自分の両手見てみろよ。』
    「両手?」
    『その時、何か掴めてたらいいな…。』
    「????」

    2008-11-07 16:45:00
  • 302:

    『俺の両手には何もない…。』聖夜氏は力なくそう言うと無言で部屋に戻っていった…。 
    僕はその時のその言葉が今も耳に残っている…。 
    【回想終】

    2008-11-07 16:48:00
  • 303:

    寝てしまったマリを膝にのせたまま、ふと自分の両手を見てみる。   
    今では口癖になってしまったその言葉を呟く。
    「俺の両手には何もない…」深いため息をつく。すると寝ていたはずのマリが『マリがおるやんか』と目を擦りながら言った。
    僕はクスリと笑いながら、【そうだな】と言った。

    2008-11-07 16:53:00
  • 304:

    「さ、ちょっと買い出しでもして来るか。」『待ちや。まだ話がある。』「ん?」『そんな辛気臭い言葉ばっかり言うてたら、いつまでもそんなんなるで。』「…。」『ちょっとした事で幸せ見つけたらええやん。』「…。」『毎日美味しいもの食べよう思ったら食べれる、毎日暖かい布団で寝れる。それでも蟲は両手に何もないん?』
    僕は無言で部屋を出た。玄関で靴をはいてると、背後にマリの声がした。 
    『まただんまりか。もう好きにし。今日はご飯いらんから!』
    僕は静かにドアを閉め、「アア。ソウスル…。」って言ったんだ…。

    2008-11-21 19:18:00
  • 305:

    行くあて何かなかったけれど、近所をフラフラ徘徊。コンビニで立ち読み何かした後、フラリとパチンコ屋に行きボケーとパチンコを打つ。
    色んな事を考えてる中パチンコが僕を馬鹿にしたようにジャンジャン出た。
    「くだらねぇな。」
    席を立ち、出玉を蹴っ飛ばし、退店した。

    2008-11-21 19:23:00
  • 306:

    外に出ると雨が降っていた。このままマリの目の前から消えてしまおうと考えていた。
    「俺の事なんかかまわないで、皆自分の事ばっかしてたらええのに。お節介な子ばっかや…。面倒くさい。」グチグチしているとメール着信。
    タイトル…ごめんな。本文…蟲ごめん。あたしみたいな自分の体売ってる汚い女に何も言われたくないよな…。

    2008-11-21 19:35:00
  • 307:

    僕は変に繕うメールはせず、「汚い仕事なのはお互い様。仕事頑張って。」とだけメールした。
    マリはどう思ったかわからないが、少なくとも僕がマリなら、そう言う言葉を待っているから。

    2008-11-21 19:38:00
  • 308:

    冷たい風に吹かれながら、吸いたくもない煙草に火をつける。「こんな事、もう辞めちまうか…。」ついつい独り事。
    いそいそと歩く人々と、まったく逆の道を歩きながら、ポツリとあった小さな小さな公園の冷たいベンチに腰をおろす。

    2008-12-01 05:30:00
  • 309:

    メール着信。タイトル…久々。本文…蟲、アドレスあの頃から、変わってないんやな。
    メールの送信者は、随分と前のホストの頃の客からだった。僕はホストの時使っていたアドレスをずっと変えていない。でもホストの頃に僕と関わった子はごく一部を除いて、同僚でさえも一切の返信をしない。

    2008-12-01 05:36:00
  • 310:

    いつものように流し読みして放置するはずのメールの最後にはこう書いてあった…。
    『蟲は元気でやってるん?私はもう疲れたわ。』
    「ん?もう疲れた?」急に胸騒ぎがした。携帯の電話帳を開き、アドレスを貼りつけ、番号を検索。「あー!イライラするこの糞携帯!急ぎや!はよ検索しやがれ!」

    2008-12-01 05:57:00
  • 311:

    電話帳にはリアと登録してあった。「リア?わからんけど取り敢えず電話や!」機械的なコール音が鳴る。 
    ―プルルル―
     
    「あかん!つながらん!」

    2008-12-01 06:01:00
  • 312:

    何度も何度も電話をかける。「つながれ!つながれ!」一体何回コール音を聞いただろう、不意に『も…もしもし?』と聞こえた。「リア!蟲や!お前どこおるねん!」『蟲…。電話くれたんや…。』と力ない声。「リア?おい?今何処や?」『ん…。家。』「大丈夫か?どないした?何かあったんやろ?」

    2008-12-01 06:06:00
  • 313:

    『もう疲れてもた…。』「あほっ!何にやねん!今から行くから住所言え!リア?聞こえるか?」
    『…いいねん。もう。』「おい!何がええねん?リア!住所言えって!」半狂乱で僕はまくしたてた。『…蟲…ありがとう…。』そう聞えて電話は切れた。

    2008-12-01 06:11:00
  • 314:

    混乱する頭で、ケイコに電話する。『もし?』「蟲や!」『わかってる。どないしたん?』「お前リアって知ってるか?」『リア?あーまた古い子やな。私が、新規連れてった子やんか(笑)リアがどないしたん?』「死によるかもしらん!」『ハァッ?何でよ?』「知らん!詳しくは後や!そいつの住所知ってるか?」『うん!』「救急車呼べ!」『わかった。』「お前家か?」『せやで!』「そっち向かうから!」『うん!また連絡して!』
    僕は駅前まで全力疾走してタクシーに乗り込んだ。

    2008-12-01 06:19:00
  • 315:

    「ごめん!料金倍払うから、めっちゃ飛ばして!」運転手は戸惑いながらも発車した。ケイコから着信『蟲?今救急車呼んだ。取り敢えず知り合いから連絡あって様子が変やからって。』「ありがとう。今タクシーで向かってるから。」
    『わかった。私リアの家行きよるから!』「うん。」僕の足は震えていた。

    2008-12-01 06:24:00
  • 316:

    ケイコが住む街に到着。運転手にお金を投げ、飛び降りる。ケイコに電話「今着いた。何処?近いんか?」『んと駅と逆にコンビニあるやろあれを真っ直ぐ下って突き当たり。』「わかった!」また全力疾走。不思議としんどくはなかった。リアの家に到着すると、パトカーと救急車が来ていて辺りは騒然としていた。

    2008-12-01 06:28:00
  • 317:

    『蟲!!』息を切らす僕を呼ぶ声。「ケイコっ!リアは?」『今から病院!蟲も一緒に行くで!』「おう!」救急車に2人で乗り込む。救急隊の人と会話を終えたケイコが僕の隣に座る。『何があったん?』「わからん。何か急にしらんアドレスからメール来て、何か文章が変やったから、胸騒ぎがして電話した。ほならもう疲れたって切れたんや。」『…そうなんや。』「てかリアって?」そう問うと同時にケイコの平手打ちが僕の頬を打った。『あんた最低やな…。』

    2008-12-05 18:42:00
  • 318:

    「…。」確かに最低だろう。死の間際に僕に連絡をくれるんだ。きっと僕に思い入れがある子なんだな…。黙ってうつむく。
    『あんたからしたらただの色恋やったんかもしらん。それでもリアはどう思ってたんやろな?あんたが、ホスト辞めたって、リアはあんたの事好きやって思うの辞めれるか?なぁ?蟲。あんたなら好きな子ができて、その子が急におらんくなったら、すぐ忘れるん?答えてや!』「…。」『黙らんといて!また黙って逃げるんか?』あまりの騒ぎに救急隊の人が止めに入る。《いい加減にしなさい!今搬送してるんですよ!》

    2008-12-05 18:57:00
  • 319:

    『あんたはな、ホストの時、色んな言い回しでお金稼いだんやろ?その言い回しに引っ掛かった子の末路1人でも見た事ある?』「…。」『リアだってあんたが、No.入りしたいなんか言うからあんたには言わず風俗行ったんやんか…。』
    「…。」『この子がどんな思いであんたにお金使ってたか何て考えた事ある?』「…。」
    【アア…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイ…ウルサイウルサイウルサイウルサイ。】

    2008-12-05 19:05:00
  • 320:

    病院に着いた。
    僕は車から降り真っ直ぐ来た道を歩き出した。
    『ちょっと!蟲!あんた何処行くんよ!』
    その言葉に振り返りもせず大声で僕は叫んだ。

    2008-12-05 19:07:00
  • 321:

    「オマエラが…オマエラがイナイとコろダヨ!」
    ケイコが僕の肩を掴もうとしてた手を振り払った。 『…ッ!』
    僕はただ真っ直ぐ。来た道を真っ直ぐに歩いていった…。

    2008-12-05 19:10:00
  • 322:

    見た事もない景色をひたすら歩く。途中何度も何度も鳴る携帯をへし折り投げ捨てる。
    ケイコは僕の1番古い客だった。一緒に住んでた事だってある。あいつの口癖は『蟲。あんたのせいで私はこんな道進んでるんやから、責任とってや。』 
    口うるさく、お節介な女だった。たまに職場の友達を連れては冷やかしに僕の店に来てたものだった。ケイコは冷やかしのつもりが、ケイコが連れて来た枝(友達)は何故か僕を指名した。

    2008-12-05 19:16:00
  • 323:

    「その中の一人だろう…どうせ。」
    そんな事を思いながら、歩いて行くと、タクシーが止まっていた。 
    タクシーに乗りマリの巣へ向かう。

    2008-12-05 19:21:00
  • 324:

    途中スーパーで買い物をしている時に手の異常に気付く。左の手から真っ赤な血が流れていた。
    「ははん。携帯をへし折った時、破片が刺さったか…。」上着で手をふくが、一向に止まらない。
    レジの人もビックリしてたが、お構い無くと買い物をすませまたタクシーに乗り込む。
    マリの巣に着く頃には、上着に血がベッタリとついていた。

    2008-12-05 19:24:00
  • 325:

    「ふーん。かなり深い。イテテ。あ、これか?」破片を抜き取り、マキロンをふる。「あーいてぇ!」
    取り敢えず治療終了。ご飯を作りはじめたが、今日はマリが帰って来ない事に気付く。
    「まいったな…。」

    2008-12-05 19:27:00
  • 326:

    料理を止め、リアはどうなったか?ケイコは何故あんなに怒ったか?色々考える。
    答えはいつも一緒の『オレニハカンケイナイ…。』「ああそうだったな。」なんて独りで笑った。 
    『ダカラオマエのテには、ナンニモナインジャナイカ?』
    【ダロウナ…。】

    2008-12-05 19:32:00
  • 327:

    真っ暗な部屋で自問自答。『オマエハサビシイな。』「だな。」
    『マワリにはダレモイナクナル。』
    「知ってる。」
    『オマエがソウシテルンダゼ?』

    2008-12-05 19:35:00
  • 328:

    「かもな。」
    『マ、イイジャネェカ。カネさえアレバ。ヒトリでもヨ。』
    「それが出来たら苦労しない。金を稼ぐには、誰かと関わらないと稼げない。」『ホントウ?ホカニカセグホウホウだっテあるダろ?』
    「…楽したいからな。」

    2008-12-05 19:39:00
  • 329:

    『ヒヒひ。ウソツケ。オマエハ誰かのソバにイタイんダ!』
    「…。」
    『ダレカにヒツヨウとサレたインだろ?』

    2008-12-05 19:41:00
  • 330:

    「…。」
    『ナノニ、いざとナルとニンゲン関係がメンドウダ…ホットケ。オマエハ、タブんコワイんダロ?スキナ人がイナクナルのが。』
    「…。」
    『人とフカク関わって、ソノ人からヒツヨウとサレナクなるのがヨ!』

    2008-12-05 19:44:00
  • 331:

    『ダカラ、スキとイワレテもニげルんだ!イツカ要らないとイワレル事シッテルからヨ!』
    「…。」
    『オマエなんてダレも要らネェ。またニゲちまえよ!』
    「…うるせぇな。」

    2008-12-05 19:46:00
  • 332:

    もう1人の自分と散々話す。「できん。好きな奴に、何も考えず飛び込むなんてな。もう辛い目すんのはこりごりなんや。」
    『デモいつか、ソレをデキル子ヲ夢見テ、オンナヲ物色カ?ヒハは!イイミブンダな!ソンナやつイネェよ!オマエミタイな偏屈なヤツ、スキナのハ、オレくらいなモンダゼ!』
    「…だな。」

    2008-12-05 19:52:00
  • 333:

    頭がガンガンして、不意に眠くなる。服ぐらい着替えようと思ったが、どうせ誰もいない。
    そのまま眠る事にした。
    「ああ…疲れた…」

    2008-12-06 17:40:00
  • 334:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 335:

    「痛ぇ!」目を開けると青ざめた顔をしたマリがいた。「あぁ。おかえりなさい。」『おかえりじゃないわ!あんたどうしたんよ?』「ん?寝てた。」『違う!布団見てみ!』「お?すげーな…。」布団には血だまりができていた。
    『どうしたん?』「あぁ…手ケガした…。」『何があったん?』「いや…ちょっとイライラして携帯壊した。」『見せてみ?』「…。」マリに手を差し出す。『うわぁ。病院行こ!』「痛いから嫌。」『あほ!こんなん縫わな血止まらへんで!』「…ハァ。」『行くで!』
    マリに病院に連れて行かれる。

    2008-12-06 17:49:00
  • 336:

    タクシーの中
    『誰と喧嘩したん…』「ん。ケイコ」『ケイコ?誰よ?あんたが怒るなんて珍しい。』「めっちゃ昔の知り合い。」『そうなん…。』「…。」『もうケイコちゃんとは切れたん?』「…知らん。もう逢いたくない。」『そうか…。何で喧嘩したか知らんけど、蟲の事思って言うてくれた事かもしれへんな。』「…。」
    『ケイコちゃんは大事なん?』「…。」『蟲と長く知り合いなら、尚更大事にしなあかんかったんちゃう?』

    2008-12-06 17:53:00
  • 337:

    「うん…。」
    『…。蟲。大事な物は大切にせな。無くなってから後悔しても遅いねんで。』
    「うん…。」マリが僕の頭を抱いた。 
    悲しくて涙が頬をつたった。

    2008-12-06 18:02:00
  • 338:

    病院に到着。
    「行ってくる。」『ほな、私はタクシーで待ってるから。』「ん。」
    とことこと救急用の入り口から、入る。
    保険証なんてもちろんないからその旨を伝え、診察待ち。

    2008-12-12 01:53:00
  • 339:

    『はい、次の方。』
    しばらく待つと中から声が。無言で診察室へ。『はい。今晩は。』そこにはえらく歳をとったジジ医者が…「…。(大丈夫かよ。)」とは心の声。『ん…。あらあら手?切った?』「はい。」『どれどれ?』僕の手を眺めるジジ医者。
    『うーん。これは、縫わないといかんかもな…。』「…。そうですか。」『ちょっとチクチクするけどな。』「…はい。」 
    『じゃ始めるからの。』ヨボヨボ動いてたジジ医者の手が高速で動く。「!!!」痛いと思うよりも先に、終了。「…。(すげっ!)」『これで一応応急じゃからの。また、朝にでも何処か掛かり付けの医師に見てもらうがええ。』「ありがとうございました。」『うん。うん。』

    2008-12-12 02:00:00
  • 340:

    少し感動しながら、会計を待ち、会計をすませ、マリの待つタクシーへ向かう。『若いからと、無茶せんようにの…。』その声にハッとして、振り返るとジジ医者が自販機で飲み物を買っていた。「…。」無言で、深々と頭を下げた。

    2008-12-12 02:04:00
  • 341:

    「お待たせ。」タクシーに乗り込む。『どうやった?』「ちょっと縫った。」『…もう!アホやな。』
    マリの巣へ帰宅。
    部屋に付くなり、布団に転がる。『今日はゆっくり寝。』「ありがとう。」 
    マリの言葉に甘えて眠る事にした。

    2008-12-12 02:16:00
  • 342:

    暗闇で目を閉じるが寝つけない。耳をすませば、マリが誰かと電話している声がした。
    『…ちが…だから…』何やら楽しそうに、はしゃぐ声。でもあまり聞き取れない。僕の部屋の入り口までこっそり移動し、聞き耳を立てる。
    『うん。え?いやいやほんまに弟!え?無理無理。そんなんしたら弟に怒られるし(笑)』
    「弟?」

    2008-12-12 02:22:00
  • 343:

    『だから、うん。もう!好きやって!同棲は…したいけど…』
    「…。」
    『うん。仕事はもう辞める。約束。うん。おやすみ。愛してる。(笑)』
    「…。」

    2008-12-12 02:24:00
  • 344:

    電話を切ったらしいマリは風呂場に行った。僕はこっそり、マリの部屋に潜入。「ちょいと確認だけ…。」マリの携帯のリダイアルを確認。そこには、さっきまで電話してた人の番号と登録名が表示された。 
      
    【キョウスケさん】

    2008-12-12 02:28:00
  • 345:

    グループ名は、お客とか、パパとかではなく、彼氏だった。
    「何だよ。水臭ぇな。」僕はまたこっそり自分の部屋に戻る。
    「そっか…。じゃ、邪魔者は退散しますか…。」
    僕は息を殺しながら最低限の荷物をまとめた。

    2008-12-12 02:31:00
  • 346:

    マリが風呂場から出たのを確認。いつものように手紙を書く。
    【マリへ。長い間ありがとう。少し色々考えたくなったから、出て行くよ。幸せになりなよ。】
    それを玄関に置き、鍵はポストに入れた。

    2008-12-12 02:34:00
  • 347:

    音がしないよう、こっそりエレベーターまで歩き、下へ。「またあてもない巣探しの始まりか…。」そして僕は夜道を歩き出した。

    《大事な物は大切に。無くなってからその大切さに気付く事があるから…。無くしてから気付いても、もう遅いんだって…。マリ?僕はもういくつの大切な物を無くしてるんだろう?そして無くしていくんだろう?》
    2部屋め【マリの巣 終】

    2008-12-12 02:53:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
僕の巣。を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。